決死の脱出~体験談 その1

 決死の脱出をした、ある島民の場合はこうでした。
 ソ連軍が上陸してきたので、島の生活を一時断念して、脱出の機会をうかがっていました。
 万が一発見されても言い訳ができるように、脱出は普通に出漁するような格好でするのが無難と考えました。
 船の底に女性や子供を寝かせ、その上に網や漁具をかぶせて隠し、普段のコンブ漁を装って沖へ出ようとしました。
 そのとき、ソ連兵が船にやってきたのです。
 島民は冷や汗が音を立てて流れ出たのを感じたといいます。
 ソ連兵が何を言ったかも全く記憶になく、まもなく兵士が船から下りて行ったのを見届け、必死の思いで一気に根室に向けて突っ走ったということです。
脱出1