行政執行方針

1 はじめに

 私は、本年5月24日に執行されました別海町長選挙におきまして、議員各位をはじめ町民の皆様、各団体の皆様から温かいご支援と多くの励ましの言葉をいただき、再び町政運営の重責を担わせていただくことになりました。
 改めまして心から深く感謝を申し上げます。
 2期目となるこれからの4年間、町民の皆様との対話を大切にし、私の信条であります「行動力・トップセールス」を基本に、安定し持続性のある行政運営と明るく住みよい町づくりのため、各般にわたる政策の推進に邁進していく所存であります。
 今後におきましても議員各位及び町民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 さて、令和2年度は、町の最上位計画である「第7次別海町総合計画」の2年目の年となります。
 目指すべき将来像である「人がつながり未来につながる海と大地に夢があふれるまち」~いつも心に広がるふるさとべつかい~の実現を目指し、一人ひとりが輝き「住んでよかった」「住み続けたい」と思える魅力ある「ふるさと別海」を創るため、町民の皆様の参画・協働のもと行政が一体となって計画を進めてまいります。
 また、人口減少や地域経済の課題解決に取り組む「別海町まち・ひと・しごと創成総合戦略」は第2期計画のスタートの年となります。
 これまで展開された施策の進捗状況、効果の検証、分析を行い、第7次総合計画との整合性を図りながら、町民や企業、関係団体等の皆様と「問題意識」、「今後町が目指すべき方向及び目標」を共有し、暮らしやすいまち、住み続けたいまちづくりの推進に取り組みます。

2 主要施策の推進

(1)地域資源を生かした産業のまち

 本町の農業は、地域の基幹産業として重要な役割を担っています。
 近年は、生産規模の拡大などから、農業生産額や生乳生産量は増加傾向にありますが、農業従事者の高齢化や担い手、後継者不足による離農などから、先行きが不透明な状況にあります。

 喫緊の課題である担い手の確保及び後継者対策については、町や関係団体で構成する別海町担い手支援協議会及び産業後継者対策相談所を中心として取り組むとともに、家族経営が大宗を占める本町の酪農を発展させ、大中小規模経営体が混在した足腰の強い柔軟性を備えた酪農地帯となるよう、農業の振興施策を総合的かつ計画的に推進します。
 また、各種補助事業等を活用した生産規模の維持・拡大と生産基盤の強化及び労働負担の軽減など、生産性の向上とゆとりある農業経営を目指すための施策を引き続き推進します。

 平成28年度に、今後10年間における本町の農業・農村の振興に取り組む共通の指針として策定した「別海町農業・農村振興計画」については、国の食料・農業・農村基本計画の中間年の見直しに合わせ、今年度中に計画の素案作成に取り組みます。

 実践的な研修を行う施設として建設された別海町酪農研修牧場は、本町での酪農を志す者が希望をもって研修に取り組めるよう、今後の施設運営について道筋をつけるとともに、本町の牛乳・乳製品の価値向上を図るため、別海町酪農工場の骨格や方向性を検討し、「べつかい」ブランドのさらなるPRに向けた活動の展開を図ります。

 森林環境の保全については、別海町森林経営計画に基づき、町有林の計画的な整備及び私有林の整備促進を図るほか、森林環境譲与税を効果的に活用し、森林整備などを推進します。

 水産業の振興については、近年、秋サケの漁獲量低迷、ホタテの魚価安傾向が続いていることから、漁家経営安定のため、根付け資源の増大事業や各種基盤整備を進めることで、つくり育てる漁業を推進します。
 また、これまで北海道や関係機関と連携して行ってきた漁港整備は、水産物の安定供給に支障が生じないよう、引き続き推進します。

 観光振興については、現在、本町のみならず全道、全国的にインバウンド観光が大きく停滞している状況であり、コロナ禍終息後を見据えて、まずは、道内及び国内需要の取り込みを強化し、町内に点在する地域資源を活用した体験型観光メニューの推進、歴史文化に触れる新たな観光メニューを開発するとともに、近隣市町と連携を図り観光振興の回復に努めます。

 商工業についても、飲食業、宿泊業をはじめ、多くの町内中小企業等の売上げが大きく減少し、大変厳しい状況です。
 町内にあるすべての事業者が事業を継続できるよう、今まで実施してきた経営継続のための支援、起業しやすい支援に加え、大きく落ち込んだ経済の回復に向けた中小企業の体質強化策に取り組み、地域の商工業が持続できるよう努めます。

 ふるさと交流館(旧郊楽苑)の今後の方向性については、懸案の事項であることから、広く住民の意見を聞く機会を設けるなどして、9月中に判断することを目指します。

(2)人と自然が調和するまち

 野生鳥獣の適正管理については、エゾシカを起因とした農林業被害防止対策として、町内全域を対象とした銃器による春及び秋駆除に加え、鳥獣保護区における越冬地対策として、囲いワナによる生体実験を継続することで、今後も被害防止に努めます。

 ごみ処理体制については、持続可能な循環型社会の形成を推進するため、適切な分別処理の徹底や排出抑制、資源化への促進を図ります。
 また、不法投棄を防止するため、啓発に努めるとともに関係機関と連携し監視体制の強化を図り、環境保全を推進します。

 町民の憩いの場であるとともに、子どもたちの遊び場など多くの機能を持つ公園については、今後も、施設の状況把握に努め、町内会などとの協働により維持管理を行います。

(3)共に支え合い、健やかに暮らせる福祉のまち

 町民の健康づくりの推進については、「健康べつかい21」をはじめとする保健計画に基づき、健康寿命の延伸に欠かせない生活習慣病の重症化予防に重点を置き、各種健康診査の受診勧奨や、保健師等によるきめ細かな保健指導を積極的に進め、健康の保持・増進を促すとともに、乳幼児期から高齢期まで生涯にわたる保健事業の充実を図ります。
 また、「いのち支える別海町自殺対策行動計画」に基づき、自殺者数の減少に向けた各種取組を積極的に進めるとともに、北海道と連携した「自殺総合対策モデル事業」の実施により、より効果的な自殺対策を総合的に推進します。

 厚生労働省が昨年9月に再編統合の議論を促すためとして公表した対象病院の中に、町立別海病院が含まれていたことは大変遺憾なことでありました。
 近隣の病院と協調することは必要ですが、別海病院は広大な面積を有する本町に欠くことのできない唯一の病院であることから、今後も安定した医療の提供を行っていくため、各方面に対ししっかりと存続の必要性を訴えていきます。

 医療従事者の確保については、引き続き医師確保推進機関等との連携や、医師の派遣をいただいている札幌医科大学との関係を維持し、奨学資金制度の活用などと合わせ、安定的な人材確保に努め、町民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、求められる医療の提供及び予防医療の推進を図ります。

 町民誰もが住み慣れた地域の中で安心して暮らすことができるよう、社会福祉協議会をはじめ、各町内会及び各種福祉団体等と連携し、地域に密着した住民参画型の地域福祉体制づくりを進めます。
 また、在宅で暮らす高齢者や障がいのある方々の不安の解消と安全確保のため、心配事の相談や急病などの際に24時間体制で対応する緊急通報システム事業の推進と、地域における見守り体制の充実を図ります。
 さらに、福祉牛乳の支給や入浴券、バス・ハイヤー共通利用券の給付など、高齢者や障がい者などの健康増進及び社会参加を目的とした事業を継続して実施します。

 次代を担う子どもたちが健やかに育つよう、安心して子どもを産み、子育てができる環境の充実を図るため、「第2期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、乳児家庭全戸訪問事業や放課後児童クラブ事業など9つの事業を引き続き実施するほか、病児期の保育を行う病児保育事業の実施に向け準備を進めます。

 また、子どもの誕生を町全体で祝福する出産祝金贈呈事業や中学生までの医療費を無償とする子ども医療費助成事業を引き続き実施し、子育て世代を支援します。

 保育園の運営については、私立認定子ども園等と連携し、待機児童を出さないことを町の責務として最優先し、地域の実情に考慮した多様な保育サービスの充実に努めます。

 障がい者支援については、「障がいのある人もない人も一人ひとりが輝く共生のまち」の実現を基本理念とした障がい者計画と、障がい福祉及び障がい児福祉計画に基づき、地域で自分らしく安心して暮らすことのできる各種障がい福祉サービスの提供体制の確保や、発達過程に心配のある児童に対する、早期養育支援体制の充実に向けた施策を進めます。

 高齢者が、地域でいきいきと安心して暮らし続けられるよう、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づき、地域包括ケアシステム構築に向け、医療・介護の連携の推進や生活支援体制の整備など各種施策を総合的、計画的に推進します。
 また、利用者ニーズに即した高齢者関連施設の整備を目指すとともに、介護サービスの提供体制の充実のため、介護職員確保対策事業の拡充を図り人材確保に努めます。

 国民健康保険は、財政運営の責任主体である北海道や関係機関と連携し、安定的な財政運営に努めるとともに、住民に身近な窓口として適切な資格管理や保険給付のほか、財源確保に向けた保険税徴収の向上に取り組みます。
 また、特定健診などの保健事業により生活習慣病の発症と重症化の予防に努め、医療費の抑制を図るとともに健康づくりを推進します。

 低所得者が自立し、健康で文化的な生活を送ることができるよう、生活保護制度など既存の制度の適正な運用に努めるとともに、関係機関や民生委員児童委員との連携により、相談・指導の充実に努めます。
 

(4)生涯を通じて人と文化を育む学びのまち

 社会教育の推進については、身近な学びの場である各公民館や図書館を拠点とし、幅広い世代の学習ニーズに対応できる機会の提供に努めます。
 また、社会学習や各種交流活動の拠点となる「生涯学習センター」は、令和4年度供用開始に向け、関係各分野と連携を図りながら整備を進めます。

 子どもたちが自分の住む地域への興味や関心を持ち、まちづくりに参画する機会として、昨年度小学生を対象に実施した「べつかい子ども未来議会」を今年度は、中学生を対象に実施します。

 学校教育に関しては、「地域の子どもたちは、地域が育てる」の意識のもと、地域で目指す子ども像を共有し、地域の特色を活かした魅力ある教育を推進する別海型コミュニティ・スクールを全学校区で本格実施し、持続可能な取組を推進します。
 加えて、本町の未来を担う子どもたちが、「生き抜く力」を身に付ける一環として、「ふるさと教育」と「学びの土台づくり」に力を入れて取り組みます。
 また、国が進める「GIGAスクール構想」に基づき、「校内通信ネットワーク整備」と「児童生徒1人1台端末の整備」を本年度から進めます。

 別海高等学校の普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図るため、引き続き寄宿施設利用者への助成をはじめとした各種支援を実施します。

 青少年の健全育成については、本町の担い手として、夢の実現と目標達成に向けて、豊かな社会性と「ふるさと べつかい」への郷土愛を育むための取り組みを推進します。
 また、生活習慣の改善対策として、「メディアコントロール」を推進し、情報モラルの育成を図ります。

 地域芸術・文化の振興については、文化連盟やサークルとのさらなる連携を図り、町民主体の芸術、文化活動を促進します。
 また、昨年度リニューアルオープンした「旧奥行臼駅逓所」は、奥行地区に集中する貴重な史跡の中核施設であり、積極的に活用し地域の文化財を学ぶ機会の充実を図るとともに、「西別湿原ヤチカンバ群落地」の国の天然記念物指定に向けた調査を進めます。

 スポーツの振興については、すべての町民が、生涯を通じてスポーツを楽しみ、健康づくりができるよう、スポーツ協会やスポーツ少年団等と連携した取り組みを進め、健康の維持・増進を図るとともにスポーツによるまちづくりを進めます。

(5)安全に、安心して住み続けられるまち

 住宅施策については、大規模地震の発生による住宅の倒壊等を未然に防ぐ目的から、耐震改修費用等の一部を補助し、既存住宅の耐震化を支援します。
 また、空き家の利活用と解体費用の補助等の支援により、安全・安心で快適な住まいづくりに取り組みます。

 道路整備については、町道の舗装化及び「橋梁長寿命化修繕計画」に基づく老朽化施設の改修を計画的に進め、道路交通の安全性や住民生活の利便性の向上を図ります。

 上水道、下水道については、国の補助事業等を有効に活用し、長寿命化や耐震化等の施設整備を計画的に実施するとともに、下水道区域外の合併処理浄化槽の普及促進を図ります。

 町民生活の向上と地域の活性化を目的とした長距離高速無線網によるインターネット通信サービスは、通信の大容量化により、通信環境改善のニーズが高まっていることから、町内の広域的な情報通信網の基本構想を策定し、地域情報通信基盤の拡充に取り組みます。
 また、地域に密着した情報や災害情報を、迅速かつ適切に提供するため、コミュニティー放送の活用に向けた整備計画の策定を進めます。

 防災対策では、大規模災害に備え、計画的に災害用備蓄品の整備を進めるほか、自主防災組織が円滑に機能を発揮できるよう学習会や防災訓練等の支援を行い、災害に強い地域防災力の向上に努めます。
 また、「つよくしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」に基づき、地域計画である「(仮称)別海町国土強靭化地域計画」の策定を進めることとし、町の「地域防災計画」と併せ、防災・減災に資する体制の整備を進めます。

 交通安全・防災活動については、引き続き、交通安全協会や防犯協会等の関係機関と連携した啓発活動等の取り組みを行い、交通安全や防犯意識の向上に努めます。
 また、日々複雑・巧妙化し多岐にわたる特殊詐欺や悪質商法から高齢者をはじめとする町民を守るため、消費者団体や関係機関と連携し、トラブルを未然に防ぐための啓発に取り組むとともに、相談体制の充実を図ります。
 
 
 

(6)参画と協働で共につくるまち

 開かれたまちづくりを目指すため、「自治基本条例」を基本に「町民参加」や「情報開示」に取り組んでいますが、今後も、住民参加のまちづくりが円滑に進められるよう広報・啓発活動の充実に努めてまいります。
 また、個人や団体からいただいているふるさと納税は、ポータルサイトの充実や返礼品のリニューアルにより、徐々に実績が上積みされてきています。今後も本町をさらに愛し、応援していただけるよう、事業内容の拡充と周知に取り組みます。

 移住定住対策については、関係団体と連携し、移住促進に係る情報発信活動を展開するとともに、旧職員住宅等を活用した移住体験施設の整備を進めます。

 認知症高齢者や障がいのある方々が不利益や権利の侵害を受けることなく、住み慣れた地域で安心して暮らしていくことができるよう、成年後見事業の実施機関である社会福祉協議会と連携を図り、制度の周知や後見事業を支える市民後見人の養成を進め、権利擁護体制の充実に努めます。

 北方領土問題については、新型コロナウイルス感染拡大等の影響もあり、昨年の9月以来、安倍首相とプーチン大統領による首脳会議は行われておらず、本年度の四島交流等事業も当面実施を見合わすことが伝えられているところです。
 事業の早期再開に期待を寄せるとともに、これまで積み上げてきた平和条約の締結に向けた「北方四島における共同経済活動」などの取り組みを後退させることのないよう、情勢を注視しつつ、国及び道と連携し、隣接地域が一体となって対応を後押しする活動を行ってまいります。

 多様化・複雑化する住民ニーズに対応することができるよう、政策形成や創造的能力などの向上を目的とし実施している職員研修については、多面的能力を向上させる研修制度の継続や、職員自らの企画・立案による研修に加え、民間団体等への派遣研修を取り入れ、住民の視点に立った行動力を習得し、よりよい地域づくりのために力を発揮できる人材の育成に努めます。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、今後、景気後退が進むことが予想されます。このような情勢の中、少子高齢化対策等の社会保障施策や、必要とされる公共施設の改築や改修などの維持管理、加えて、事業者等の経営持続化施策、収束後の経済対策を見据えなければなりません。
 現在の本町の財政状況では、これらすべてを克服することは困難であり、各自治体とともに、国に対して地方財政措置の拡充を強く求め、一方で、町としても、事業の取捨選択や徹底した経費削減、業務改革を進めていく必要があります。

 このことから、本年度は、今後の財政運営に資するべく「中長期財政見通し」による財政運営基準の策定を行うとともに、併せて、令和3年度に見直し予定の「公共施設等総合管理計画」の基礎となる、「個別施設単位での整備計画」の策定を行います。

3 むすび

 令和という新しい時代を迎え1年が過ぎました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大という事態にあって、町が実施する各種施策や取組を町民の皆様にわかりすく、かつ理解を得られる情報発信の重要性を改めて認識したところであり、このことを教訓に今後の行政執行に取り組んでまいります。
 その上で、豊かなふるさと別海を次世代につなぎ、安全安心で「実りあるまりづくり」に全力で邁進する覚悟を持って、町政運営に当たってまいります。

 議員各位及び町民の皆様には、町政運営に対するご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和2年度の行政執行方針といたします。