行政執行方針

1 はじめに

 平成31年度は、多くの町民の方から寄せられたまちづくりへの思いや提言により策定した、行政運営の総合的な指針である第7次別海町総合計画がスタートします。
 本計画は、地域懇談会を始め、町民検討委員会などで多くの町民の方に協力をいただきながら策定作業を進め、策定審議会へ計画案の諮問を行い、その答申のもとで策定しました。
 今後も町民の皆さまの声を反映した行政の推進と、質の高いサービスを提供するよう努めます。

 私は、この第7次別海町総合計画において「人がつながり未来につながる海と大地に夢があふれるまち」~いつも心に広がるふるさとべつかい~をまちの将来像に掲げました。
 世代や環境を超えた、人と人との結びつきを深めるまちづくり、豊かで美しい自然を生かした産業を中心としたまちづくり、そしていつまでも生まれ育ったふるさと別海町を思い続けるまちづくりを、町民の皆さんと力を合わせ進めてまいります。

2 主要施策の推進

(1)地域資源を生かした産業のまち

 酪農畜産情勢は、乳価の上昇や、個体価格の高値安定が継続していることから、農業生産額や生乳生産量は増加傾向にありますが、担い手、後継者不足による離農の加速、国際貿易協定の発効により、依然として先行きが不透明な状況にあります。

 担い手の確保及び後継者対策は、喫緊の課題として、引き続き、町や関係団体で構成する別海町担い手支援協議会を中心として取り組むとともに、家族経営が大宗を占める本町の酪農が発展できるよう、農業の振興施策を総合的かつ計画的に推進します。
 また、将来にわたって安全で安心できる国産食料を安定的に国民に提供する責任を果たしていくために、持続的で多様な農業生産と、魅力ある農村環境の確立を目指し、各種補助事業等を活用した生産規模の維持・拡大と生産基盤の強化及び労働負担の軽減など、安定した農業の振興に努めます。
 
 森林環境の保全については、森林経営計画に基づき、森林の持つ多面的機能の発揮に向け、町有林の計画的な整備と、河畔林整備のための町内主要河川流域事前調査を実施します。
平成31年度には、森林環境譲与税の創設が予定されていることから、それを財源とした間伐や人材育成・担い手確保、木材利用の促進や森林整備等の新しい事業について検討を進め、実施を目指します。
 また、林業に係る現場作業の軽労化と過酷な労働環境の改善について推進します。
 
 水産業振興については、主要魚種である秋サケの漁獲量低迷が続いていることから、漁家経営安定のため、引き続き資源増大対策や漁業後継者の育成・確保を図ります。
 また、尾岱沼漁港の衛生管理型漁港整備をはじめとする水産関連施設の老朽化対策や、風蓮湖地区アサリ人工干潟造成工事など、供給基盤、生産基盤及び流通基盤の整備を進め、つくり育てる漁業の推進を積極的に支援することで水産業の発展を図ります。

 観光振興については、近隣市町との広域連携を一層推進し、管内や道東圏域が一体となった観光PRなどにより交流人口及び関係人口を増加させ地域の活性化を目指します。
 また、民間事業者の発想や取り組みを支援しつつ、町内に点在する地域資源を活用した体験型観光メニューの強化や歴史文化に触れる観光メニューを創出し、安定した観光の振興に努めます。
 
 商工業の振興については、地域の特色を生かした産業の創出や人材の育成、及び経営体質の強化を目指し、域内循環が図られるようにするとともに、労働力の確保と雇用の促進に努め、企業が継続的に事業を行えるよう、各種中小企業振興策を引き続き実施し、地域の商工業の発展に努めます。
 

(2)人と自然が調和するまち

  野生鳥獣適正管理の推進について、エゾシカによる農林業の被害防止対策として、鳥獣被害防止計画に基づき、町内全域を対象とした銃器による春・秋駆除に加え、越冬地対策として、囲いワナによる生体捕獲を継続して実施し、今後とも被害防止に努めます。
 
 町民、事業者及び行政が一体となり、ごみ減量化の意識を高めて取り組めるよう、リサイクルやごみの分別の分りやすい啓発に努め、更なる分別の徹底とごみの減量化を図り、豊かな環境の保全と循環型社会の形成を推進します。
 
 町民の憩いの場であるとともに、子どもたちの遊び場など多くの機能を持つ公園については、町民が安心して快適に利用できるよう、施設の点検や補修、更新を計画的に行うとともに、地元町内会等と連携し協働による適切な維持管理に努めます。
 

(3)共に支え合い、健やかに暮らせる福祉のまち

 全ての町民が健康でいきいきとした人生を送れるよう、特定健診をはじめとした各種健診の受診勧奨や、保健師等によるきめ細かな保健指導を行い、健康管理意識の高揚と自主的な健康づくりを促進するとともに、乳幼児期から高齢期まで生涯にわたる保健事業の充実を図ります。
 また、誰も自殺に追い込まれることのないまちの実現を目指し、いのち支える別海町自殺対策行動計画に基づき、地域の関係機関や団体と連携した取り組みを進めます。
 
 地域医療を取り巻く環境は、人口減少、高齢社会の到来に伴う医療需要の変化への対応や、医療従事者不足など依然厳しい状況が続いています。
 引き続き、広大な面積を有する本町における唯一の病院である別海病院を中核として、地域の福祉関係施設と独自のネットワークを構築し、地域の中でそれぞれの特徴を活かしながら医療機関相互の役割分担と連携の強化に努めます。
 
 医療従事者の確保については、医師確保推進機関等との連携や、医師の派遣をいただいている札幌医科大学との関係を引き続き維持し、奨学資金制度の活用などと合わせ、安定的な人材確保に努め、町民が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、求められる医療の提供及び予防医療の推進を図ります。
 
 住み慣れた地域の中で、町民の誰もが自分らしく安心して暮らすことができるよう、社会福祉協議会をはじめ、町内会及び各種団体等と連携し、多様なニーズに対応する、地域に密着した住民参画型の福祉事業を展開し、人と人とが支え合う地域福祉の体制づくりを進めます。
 また、在宅で暮らす高齢者や障がい者の方々に対する災害時の対応は、災害時避難行動要支援者支援制度に基づき、町内会や、民生委員児童委員など関係機関と連携を図り支援体制の充実に努めます。
 さらに、福祉牛乳の支給や入浴券、バス・ハイヤー共通利用券の給付など、高齢者や障がい者の方の社会参加、及び健康増進を目的とした事業を継続して実施します。
 
 安心して子どもを産み、子育てができる環境を整えるため、子ども・子育て支援事業計画に基づき、認定こども園での一時預かり事業や、放課後児童クラブなど、支援事業として10事業を実施するほか、切れ目のない子育て支援の一環として、出産後の心身のケアや育児サポートを行う、産後ケア、及び産婦健康診査事業を新たに開始します。
 
 保育園運営は、待機児童を出さないことを町の責務として最優先し、地域の実情に即した運営に努めます。
 また、子育て世帯への支援として、経済的負担の軽減と子どもの疾病の早期治療を促進し、健康で健全な育成の推進を目的とする子ども医療費助成や、子どもの誕生を町全体で祝福し健やかな育ちを支援する出産祝金贈呈事業を引き続き実施します。
 
 障がいの有無に関わらず、お互いに尊重し理解し合いながら、全ての障がい者の方とその家族が、地域で自分らしく安心して暮らすことができるよう、障がい者計画と、障がい福祉及び障がい児福祉計画に基づき、各種障がい福祉サービスの提供体制の確保や、発達に心配のある児童に対する、早期養育支援体制の充実を図ります。
 
 高齢者が、いきいきと安心して暮らし続けられるよう、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づく地域包括ケアシステムの構築に向け、生活支援体制整備事業など包括的支援事業の取り組みを強化します。
 また、地域のニーズに即した高齢者関連施設整備を進めるとともに、介護職員確保対策事業の拡充を図ります。
 
 国民健康保険は、昨年4月の制度改正により、財政運営主体が都道府県へ移行し、市町村との共同運営となりました。
 制度改正による将来的な影響の検証を進めるとともに、特定健診などの保健事業による健康づくりを進め、医療費の抑制につなげるほか、財源確保にむけた保険税徴収の向上に取り組み、安定的な運営に努めます。
 
 また、低所得者が自立し、健康で文化的な生活を送ることができるよう、生活保護制度など既存の制度の適正な運用に努めるとともに、関係機関や民生委員児童委員との連携により、相談・指導の充実を図ります。
 

(4)生涯を通じて人と文化を育む学びのまち

 社会教育の振興において、生涯を通じて積極的に学び、その学習成果が活かされる生涯学習社会の実現に向けて、身近な学びの場である公民館や図書館を拠点とし、幅広い世代の学習ニーズに対応できる機会の提供に努めます。
 また、子どもたちが自分の住む地域への興味や関心を持ち、まちづくりに参画する機会として「べつかい町子ども未来議会」を平成31年度から3年間、小学生・中学生・高校生を対象に順次実施します。

 学校教育に関しては、「地域の子どもたちは、地域が育てる」の意識のもと、地域で目指す子ども像を共有し、地域の特色を活かした魅力ある教育を推進する別海型コミュニティ・スクールを引続き全学校区で推進します。

 また、本町の未来を担う子どもたちが、将来のグローバル化をはじめとした環境下において「生き抜く力」を身に付ける一環として、外国人の指導助手であるALTを増員し、外国語指導の充実と強化に努めます。
 さらに、地元、別海高等学校の普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図るため、寄宿施設利用者への助成をはじめとした各種支援を継続します。

 青少年の健全育成については、風土、文化等の違いを学び、見聞を広げる大切な機会として、友好都市である枚方市との中学生による相互訪問『ふれあいの翼交流事業』を引続き実施します。

 地域芸術・文化の振興については、引き続き文化連盟やサークルと連携を図り、町民主体の芸術、文化活動を促進します。
 また、保存管理計画に基づく3年間の保存修理工事が終了した史跡旧奥行臼駅逓所は、一般開放を再開するとともに、奥行地区に集中する交通遺跡を観光資源として活用することについて検討を進めます。
 
 スポーツの振興については、全ての町民が、それぞれの体力や年齢に応じたスポーツ活動ができるよう、体育協会やスポーツ少年団等と連携した取組みを進め、健康の維持・増進を図ります。
 また、障がい者と健常者とのスポーツの交流を目的とした、新たな取組みについても検討します。
 
 友好都市間で組織している友好都市サミット協議会での交流を通じ、他都市の特徴的な施策などを情報交換しながら、本町の行政運営に生かすとともに、町民による地域間交流の活性化を図ります。
 また、別海町の魅力や地元特産品を全国にPRするために、ふるさと応援制度を活用した交流人口の増加を目指すとともに、都市部へのプロモーション活動を展開していきます。
 

(5)安全に、安心して住み続けられるまち

 交流やボランティアの活動拠点を備えた生涯学習センターは、平成31年度からいよいよ建設を開始します。
 本施設が、別海町の顔として市街地の活性化につながるよう商業、教育、防災等の各分野と連携を図りながら整備を進めます。
 
 住宅施策については「別海町空家等対策計画」に基づき、空家等の発生抑制や利活用を目的とした支援に取り組みます。
 また、既存住宅の耐震化を促進するため「耐震診断等改修費用補助金」の活用を促す取組をさらに推進し、良質な住宅ストックの形成に取り組みます。
 
 道路・交通網の整備については、国土交通省、防衛省、農林水産省所管の補助事業の積極的な活用による計画的な整備を進めます。
 上水道、下水道については、国の補助事業等を有効に活用し、長寿命化や耐震化の施設整備を計画的に実施するとともに、下水道区域外の合併処理浄化槽の普及促進を図ります。
 
 町民生活の向上と地域の活性化を目的とした長距離高速無線網によるインターネット通信サービスは、通信の大容量化により、通信環境改善のニーズが高まっていることから、町内の広域的な情報通信網の整備方法を検証するための基本構想を策定し、地域情報通信基盤の拡充に取り組みます。
 
 防災対策では、町民に対して防災情報を確実に伝達するため防災行政無線を更新し、合わせて各市街地に屋外拡声機の新設整備をするなど、情報伝達手段の確保に努めます。
 また、中春別東町で土砂災害警戒区域に指定されている町有地の災害防止対策に取り組みます。
 
 交通事故や犯罪を未然に防止するため、交通安全協会や防犯協会等の関係機関と連携して、交通安全や防犯意識の向上に努めます。
 また、近年のインターネットやSNSの普及に伴う有料サイトの架空請求など、多岐にわたる悪質商法から消費者被害を防ぐため、関係機関と連携しトラブルの未然防止に取り組むとともに、相談体制の充実を図ります。
 
 
 

(6)参画と協働で共につくるまち

 これまで、まちづくりへの住民参画の仕組みづくりとして「自治基本条例」や「協働の指針」による情報開示等に取り組んできました。
 今後とも、町民と行政、さらには各団体との連携で、誰もがまちづくりに参加しやすい環境づくりを行いながら、多くの意見を行政運営に反映できるよう取り組みを進めます。
 
 自治機能の向上や、行政とコミュニティ間におけるネットワークづくりを活性化させるため、自主防災組織の育成や高齢者の見守り、子育て支援などのコミュニティ活動に対する環境づくりを支援していきます。
 
 高齢者や、認知症、障がい者の方などの権利を守り、住み慣れた地域で安心して生活が続けられるよう、成年後見事業の実施機関である社会福祉協議会と連携を図りながら、成年後見制度の周知や、後見事業を支える市民後見人の養成を進め、権利擁護に努めます。
 
 北方領土問題の解決は、元島民や隣接地域に住んでいる人たちの積年の思いであり、日露平和条約締結に向けた首脳交渉が加速化されたことで、領土問題が解決に向けて大きく進展することに期待を寄せています。
北方領土隣接地域である本町としても、引き続き国の後押しとなる返還運動を、関係機関と連携しながら展開していきます。
 
 職員研修については、職務遂行に必要な実務能力をはじめ、政策形成や創造的能力など、今後重要性が高まると考えられる能力の向上を目的とした職場外研修を実施します。
 また、多様化・複雑化する住民ニーズに対応することができるよう、職員の自主性及び多面的能力の向上を目的に、職員自身が企画・立案する研修制度を継続し、先進市町村の実態を学び、行政課題の解決とよりよい地域づくりのために力を発揮できる人材の育成に努めます。
 
 本町の財政状況は、地方交付税の減額交付が続く中、少子高齢化対策等の社会保障関連経費の増や、必要とされる公共施設の改築や改修に加え、その後の維持管理費を含めると、将来的に多くの財政負担が生じる見通しとなっており、より一層、厳しさが加速するものと予想しています。
 
 このような財政状況下において、第7次別海町総合計画に基づく新たな町づくりがスタートしますが、計画の達成を念頭におく一方で、将来を見据えた安定的かつ健全な財政基盤の確立を目指した「中長期財政計画」の策定を進めます。
 併せて、個別施設単位での運営状況を財務諸表に示すなど「見える化」に向けた取り組みを引き続き実施するとともに、本年10月からの消費税10%への引き上げに併せ、必要と判断される使用料などの公共料金について、受益者負担の原則に基づいた見直しの検討を進めます。

3 むすび

 2019年は、平成として最後の年であり、間もなく新しい元号のもとで新たな時代の幕が開きます。
 
 厳しい財政状況下にはありますが、この節目の年にスタートする第7次別海町総合計画を、町民の皆さまとともに、希望を持ち、力を合わせて推進して行けるよう、その先頭に立って町政運営に当たってまいります。
 
 町議会議員及び町民の皆様には、平成31年度の町政運営に対するご理解とご協力を心からお願い申し上げ、行政執行方針といたします。