行政執行方針

1 はじめに

 令和3年別海町議会第1回定例会の開会にあたり、町政執行に対する所信を申し上げます。

 昨年1月に、国内で新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、未だ終息の目途が立たない大変厳しい状況にありますが、これまで医療、福祉等、様々な分野で大変多くの皆様が、感染症への対応のために御尽力をされました。
 また、町民の皆様にも、制約の多い、不自由な生活の中で感染症拡大防止に御協力をいただいたところです。
 執行方針を述べるにあたり、この間、御尽力、御協力をいただきました全ての皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。

 さて、このような中、本町は令和3年度、町制施行50周年という大きな節目を迎えます。
 コロナ禍において、本町を取り巻く状況は依然として厳しいところですが、一方、節目の年にふさわしく、令和3年度には、多くの町民の皆様が心待ちにしていた生涯学習センター「みなくる」が完成いたします。
 50周年の記念式典は、この生涯学習センターの完成を待って、晴れやかに挙行する予定としておりますが、令和3年度は、町制施行50周年を契機とし、「みなくる」をシンボルに、未来に向かって持続可能なまちづくりを進めるための、土台を築き、種をまく1年と位置付け、町の魅力を内外に広く発信してまいります。
 町制執行の基本的な考え方につきましては、これまで同様、町民と行政が一体となって策定した、「第7次別海町総合計画」の基本目標に基づき、各種施策を推進してまいります。

 社会は今、ポストコロナ時代に向け、大きく変化しようとしています。
 新しい生活様式への対応やデジタル化の推進など、厳しい財政状況下にあることを踏まえながらも、各般にわたる施策の推進に力強く邁進していく所存でありますので、議員各位並びに町民の皆様の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、第7次総合計画の6つの基本目標に沿って、新年度の主要施策について申し上げます。

2 主要施策の推進

(1)地域資源を生かした産業のまち

 本町の重要な基幹産業である酪農は、近年、畜産クラスター事業などを活用した生産基盤の拡大や乳価の安定から、農業生産額や生乳生産量は増加傾向にありますが、農業従事者の高齢化や担い手、後継者不在により離農が減少しない状況にあります。

 農業生産の減退や地域コミュニティの活力低下を招かぬよう、新たな担い手の確保及び後継者対策については、引き続き、町や関係団体で構成する別海町担い手支援協議会及び産業後継者対策相談所を中心として取り組みます。
 加えて、新規就農希望者が円滑かつ確実に就農できるよう、酪農研修牧場を核とした地域の幅広い関係者を含む受入態勢を構築するとともに、就農時の負担軽減を図るため各種補助事業の活用を推進します。

 また、大・中・小規模経営体が混在した足腰の強い柔軟性を備えた酪農地帯となるよう、草地基盤整備などを計画的に進めるとともに、町全体への光回線整備によるスマート農業の導入など生産性の向上と労働負担の軽減を図る取組を推進します。

 家畜排せつ物の処理については、環境への負荷軽減を図るため、町、事業者及び関係団体が一体となり、適正な管理に努めます。

 平成28年度に本町の農業・農村の振興に取り組む共通の指針として策定した「別海町農業・農村振興計画」及び「別海町酪農・肉用牛生産近代化計画」については、国の食料・農業・農村基本計画などの見直しに合わせ、令和3年度に計画を策定します。

 森林環境の保全については、森林環境譲与税を活用し、私有林整備の促進を図るため、森林経営管理制度に基づいた意向調査を継続し、河川環境保持に向けた、町内主要河川沿いでの河畔林整備を進めます。

 水産業の振興については、主要魚種である秋サケ漁獲量の低迷が続く中、昨年の記録的な大不漁を受け、早急に増殖事業を強化することが重要であることから、関係機関と連携し資源回復や回帰率の向上等に向けた取組を推進します。
 加えて、根付け資源であるホタテやアサリの漁場造成や種苗放流など「つくり育てる漁業」を国や北海道と連携して推進し、漁家経営の安定を図ります。
 また、地震・津波等の大規模災害に備え、現在進めている尾岱沼漁港での防潮堤建設について、引き続き北海道や関係機関と連携し災害に強い漁港づくりを推進します。

 観光振興については、終息の兆しが見通せないコロナ禍により、インバウンドはもとより他地域からの観光入込客が、大幅に落ち込んでいる状況が続いています。
 ポストコロナを見据え、地域の魅力発信の強化に加え、「ひがし北海道自然美への道DMO(ディーエムオー)」や「知床ねむろ観光連盟」と協力しながら、一日も早い観光入込客の回復に努めます。

 商工業の振興については、コロナ禍による長引く外出自粛ムードの影響から、多くの町内中小企業等が売り上げを落としており、厳しい状況が続いています。
 町内にあるすべての事業者が事業を継続できるよう、商工会とも綿密に協議を行いながら、引き続き必要に応じた各種支援策を実施し、地域商工業の経営持続化に努めます。
 なお、令和3年度から町が行う特定健診等の事業を利用した際に、商工業振興協同組合が実施している「カウカウポイント」を付与する「行政ポイント事業」に取り組み、町の事業への参加率向上と地域経済活性化の相乗効果をめざします。

 町の公の施設であるふるさと交流館の運営は、令和3年度から指定管理制度によらず、直営で行うこととしました。
 まずは、入浴サービスに限定し運営しますが、利便性の向上はもちろん、より一層町民に愛され、多くの方々にご利用いただけるよう、サービスの向上に努めます。

(2)人と自然が調和するまち

 エゾシカによる植生被害等に関しては、別海町鳥獣被害防止計画に基づき、引き続き町内全域を対象とした銃器による春駆除及び秋駆除を行うとともに、鳥獣保護区における越冬地対策を実施します。

 ごみ等の廃棄物処理については、適正かつ安定的な処理を継続するとともに、ごみを減らす、再利用する、再生利用する、不要なものの受け取りを断る、のいわゆる「4R運動」を促進し、環境保全と資源の有効活用を推進します。

 町民の憩いの場、子どもたちの遊び場など多くの機能をもつ公園については、今後も、町民が安心して快適に利用できるよう施設の状況把握に努め、町内会などとの協働により維持管理を行います。

 べつかい霊園内に設置した「別海町合葬墓」は、本年4月から使用を開始します。
 お墓の維持管理や継承者不足に対する不安の解消、埋蔵方法の選択肢を広げるための施設として、適切な管理・運営に努めます。
 

(3)共に支え合い、健やかに暮らせる福祉のまち

 健康づくりの推進については、生活習慣病の一次予防に重点を置き、疾病の早期発見及び重症化予防に繋がる各種健康診査の受診勧奨や、保健師等によるきめ細かな保健指導を積極的に進め、全ての町民が健康で生き生きと暮らせるよう、保健事業の充実を図ります。
 また、新型コロナウイルス感染症対策として国が進めるワクチン接種については、速やかに接種を開始することができるよう体制整備を図り、町民の安全・安心を確保します。

 国による地域医療構想は、新型コロナウイルスの蔓延によって方針等の作成は延期されていますが、広大な面積を有する本町において唯一の病院である町立別海病院の存続については、関係機関にしっかりと訴えてまいります。
 なお、病院経営については、近隣の病院と協調できるところは協調を進め、また、オンライン診療の推進を検討するなど、安定的かつ効率的な医療の提供に努めます。

 医療従事者の確保については、引き続き医師確保推進機関等との連携や、札幌医科大学との関係を維持し、奨学資金制度の活用などと合わせ、安定的な人材確保に努め、町民が求める医療の提供及び予防医療の推進を図ります。

 町民誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域共生社会の実現に向けた地域福祉計画を策定するとともに、社会福祉協議会をはじめ、各町内会及び各種福祉団体等と連携し、地域に密着した住民参画型の体制づくりを進めます。
 また、住宅で暮らす高齢者及び障がいのある方々の不安解消と安全確保のため、緊急通報システム事業や、災害時避難行動要支援者支援制度により、緊急時の支援体制の充実に努めます。

 福祉牛乳の支給や入浴券、バス・ハイヤー共通利用券の給付など、高齢者や障がいのある方などへの健康増進及び社会参加を目的とした事業を継続して実施します。
 なお、町内の公共交通空白地域に住む高齢者等の交通手段として、これまで試行により実施してきた「通院等乗合ハイヤー事業」は、需要の高まりを受け、新年度から本格運行に移行して実施します。

 次代を担う子どもたちが健やかに育つよう、安心して子どもを産み、子育てできる環境の充実を図るため、「第2期子ども・子育て支援事業計画」に基づく各種事業を継続して実施します。
 
 また、国が示す「子育て世代包括支援センター事業」の実施については、町がこれまで取り組んできた妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制に加え、サポートネットワークの構築による包括的、継続的な相談・支援体制の強化を図り、より充実した支援環境の整備を図ります。

 子どもの誕生を町全体で祝福する出産祝金贈呈事業や、中学生までの医療費を無償とする子ども医療費助成事業を引き続き実施し、子どもの健やかな成長と子育て世代を支援します。

 保育園の運営は、待機児童を出さないことを町の責務として、地域のニーズを的確に捉え、子ども数の推移などを勘案し、私立認定こども園等と連携して地域の実情に考慮した多様な保育サービスの充実に努めます。

 障がい者支援については、障がい者計画の基本理念である「障がいのある人もない人も一人ひとりが輝く共生のまち」の実現をめざし、障がい福祉計画及び障がい児福祉計画に基づく各種サービスの提供体制の確保や、発達過程に心配のあるお子さんに対する早期療育支援の充実に努めます。

 高齢者が健康で生きがいを持って暮らし続けられるよう、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づき、地域包括ケアシステムの深化・推進に向け、生活を支援するサービスや介護サービスの充実を図るため各種施策を総合的、計画的に推進します。

 また、介護サービス提供体制の充実を図るため、介護職員確保対策事業の拡充を図り、人材確保に努めます。

 国民健康保険は、財政運営の責任主体である北海道や関係機関と連携し、健全な事業運営に取り組むとともに、国保の運営に関する統一的な方針である「北海道国民健康保険運営方針」が昨年12月に改定され、統一保険料率を目指す方針が明記されたことから、将来的な財政負担に向けた財源確保や賦課方式改正の検討を進めます。
 また、特定健診などの保健事業により生活習慣病の発症と重症化予防の促進を図り、医療費抑制と健康づくりを推進します。

 低所得者が自立し、健康で文化的な生活を送ることができるよう、関係機関や民生委員児童委員との連携を強化し、潜在的生活困窮者の実態把握に努めるとともに、生活保護制度など既存制度の適正な運用による早期支援に努めます。
 

(4)生涯を通じて人と文化を育む学びのまち

 本基本目標の教育行政に係る具体的方針については、教育長からの教育行政執行方針で詳しく申し上げますので、私からは総括的な方針について、申し上げます。

 社会教育の推進については、身近な各公民館や図書館を拠点とし、幅広い世代の学習ニーズに対応できる機会の提供に努めます。
 また、社会学習や各種交流活動の拠点となる生涯学習センター「みなくる」は、令和4年度からの供用開始に向け、施設の運用や事業内容の具体化を進めるとともに、「ぷらと」と「マルチメディア館」との3館連携に向けた準備を進めます。
 
 子どもたちが自分の住む地域への興味や関心を持ち、まちづくりに参画する機会として、昨年度中学生を対象に実施した「べつかい子ども未来議会」を令和3年度は高校生を対象に実施します。
 地域に根ざした高等学校教育の継続をめざし、別海高等学校の普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図るため、別海高等学校や関係機関と連携しながら、寄宿施設利用者への助成をはじめとした各種支援事業と情報発信を継続して実施します。

 ポータルサイトの拡充や返礼品提供業者の増加により、堅調な伸びを示しているふるさと応援寄付金については、今後も地場産品等の返礼を通じて本町の魅力を伝え、交流人口及び関係人口の拡大に寄与する取組を強化することで、自主財源の確保につなげます。

 移住定住対策については、コロナ禍における取組として、オンラインによる移住相談を活用した対策を推進するとともに、旧職員住宅を活用した移住体験施設の整備を行い、コロナ終息後に備えた移住体験希望者の受け皿となる体制を整えます。

(5)安全に、安心して住み続けられるまち

 住宅対策については、空き家の利活用や解体費用の補助等の支援により、空き家の発生抑制を図ります。
 また、既存住宅の耐震改修費用等の一部を補助することにより、大規模地震による倒壊被害等の抑制に取り組みます。

 道路、橋梁の整備については、町道の舗装化及び「橋梁長寿命化修繕計画」に基づく橋梁の修繕を計画的に進め、歩行者や通行車両の安全確保並びに住民生活の利便性の向上を図ります。

 上水道、下水道については、国の補助事業等を有効に活用し、長寿命化や耐震化等の施設整備を計画的に実施するとともに、下水道区域外の合併処理浄化槽の普及促進を図ります。
 また、下水道事業の持続可能な経営基盤の確保のため、地方公営企業法の適用に向けた取組を進めます。

 町民生活の更なる向上と安定した情報通信基盤の確保を図るため、国の高度無線環境整備推進事業を活用し、町内全域に光回線の整備を進めます。
 また、国・地方を通じ行政の様々な分野において、情報通信技術を効果的に活用する取組が加速していることから、情報の推進管理に係る組織体制を強化し、今後のデジタル化に向けた動きへの対応を進めます。
 
 防災対策については、今後、北海道から示される津波対策の基本となる新たな太平洋沿岸の津波浸水想定により、町の防災ハザードマップを一新し、津波避難計画の強化に向けた取組を行います。

 また、町民生活に密着した地域情報や、災害時において迅速かつ適切な情報の提供手段を確保するため、令和3年度からコミュニティFM放送通信施設の整備に着手します。

 交通安全・防犯活動については、交通死亡事故の撲滅及び犯罪の未然防止など、交通安全協会や防犯協会等の関係機関と連携した啓発活動等の取組を行い、交通安全や防犯意識の向上を図ります。
 また、高齢者を狙った悪質商法や特殊詐欺を未然に防ぐため、消費者団体等の関係機関と連携して啓発を行うとともに、相談体制の一層の充実を図り、町民の消費生活における安全と安心の確保に努めます。
 

(6)参画と協働で共につくるまち

 これまで、開かれたまちづくりをめざし、「自治基本条例」を基本に「町民参加」や「情報開示」に取り組んできました。
 今後も、行政と議会の双方が歩調を合わせて住民参加のまちづくりを進展させ、多くの町民の皆様の意見を行政運営に反映できるよう取組をさらに進めてまいります。
 
 認知症高齢者や障がいのある方々の権利を守り、住み慣れた地域で安心して生活を続けることができるよう、成年後見事業実施機関である社会福祉協議会と連携を図りながら、更なる制度の周知と後見事業を支える市民後見人の養成を進め、権利擁護体制の充実に努めます。

 北方領土問題については、新型コロナウイルス感染拡大等の影響もあり、令和2年度は四島交流等事業をはじめ、ほとんどの事業が中止となりました。
 新年度において事業が早期に再開されることを期待するとともに、「北方四島における共同経済活動」など、平和条約の締結に向けたこれまでの取組が後退することのないよう、政府間協議の進捗を注視しながら、隣接地域の一員として関係機関と連携し、返還運動を展開していきます。

 職員の人材育成については、政策形成や創造的能力などの向上を目的に実施している職員研修に加え、民間団体等への職員派遣の継続、さらには、今後の地方行政において、国の実情に立脚した施策立案が行えるよう、国との人事交流を取り入れ、よりよい地域づくりのために力を発揮できる職員の育成に努めます。

 本町の財政運営は、今年度策定した「別海町中長期財政運営基準」で示したとおり、当面の間、極めて厳しい状況が続くものと見込んでいます。
 そのような中でも、時代に応じた施策を展開しなければなりませんが、一方で、徹底した経費削減や業務改革をはじめ、既存サービスの見直しについても、町民の皆様と一緒に考えて行く必要があります。
 特に、公共施設を総合的かつ計画的に管理することにより、財政負担を軽減・平準化することや、人口減少社会である現在、公共施設の最適配置を実現することも重要な取組であると考えるところです。
 そのため、現在、主要な公共施設の「個別施設計画」作成作業を進めていますが、令和3年度は、この情報を活用し、本体計画である「公共施設等総合管理計画」の見直しに取り組みます。

3 むすび

 以上、令和3年度、町政運営を進めるにあたっての、私の所信の一端を述べさせていただきました。

 世界中を襲った新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしや働き方、社会の仕組みなどを短期間で大きく変化させましたが、時代が大きく変化していく今こそ、50年先、100年先の未来を明るいものとするため、見直すべきものは大胆に見直し、守るべきものはしっかりと守るという姿勢をもって、私たちが誇る別海町の大切な財産を次の世代に引き継いでいかなければなりません。
 そのためには、町は町民生活に最も近い基礎自治体として、町民自らが主体的に取り組む地域の課題解決の活動を支援し、町民参加のまちづくりが円滑に進められるよう、広報、啓発活動を広く進めてまいります。

 そして、多くの方々からいただいた信頼や期待の声を力に、情熱と信念をもって、持てる力の限りを尽くし、魅力あふれる別海町の実現に向けて全力を尽くしてまいります。

 町民の皆様、そして町議会議員の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げ、令和3年度の行政執行方針といたします。