行政執行方針

1 はじめに

 行政運営の総合的な指針である別海町総合計画は、平成30年度が第6次計画の最終年度となります。

 現計画の達成状況等については、すでに項目ごとの暫定評価に取り掛かっており、残された課題なども整理しながら、第7次別海町総合計画策定に結果反映ができるよう準備をすすめているところです。
 昨年末には、町民の方々を対象としたアンケート調査も実施いたしましたが、町民の皆様の声をしっかりお聞きしながら、「経済・福祉・教育が充実し安心して暮らせるふるさと」をつくり上げることができるよう、計画の策定を進めるとともに、第6次計画最終年度に当たり、町が抱える行政課題の解決と、更なる行政運営の充実を目指して、行政執行に取り組んでまいります。

2 主要施策の推進

(1)活力ある産業のまち

 はじめに農業の振興策についてです。
 現在の酪農畜産情勢は、乳価上昇や個体価格の高値安定により、農家経済は非常に好調な状況が続いています。
 この機を生かし、各農家における経営基盤の安定を図るため、各種補助事業を活用し、農地の維持保全対策事業や基盤整備事業など、酪農畜産生産基盤の強化を図ります。

 農業の担い手確保対策としては、引き続き町や関係団体で構成する「別海地域担い手育成総合支援協議会」を中心として、新規就農希望者に加え、酪農関連産業の担い手についても積極的に確保する取り組みを行うとともに、引き続き新規就農者への手厚い支援を継続します。

 森林環境の保全については、水源の涵養や災害の防止、地球環境の保全といった森林の有する多面的機能が十分に発揮されるよう、町の基幹産業に深い影響を及ぼす防風林や河畔林について、除間伐や造林施業による適切な整備を行い循環型一次産業の構築に努めます。
 また、私有林の整備が円滑に進むよう、支援制度などの情報を広く発信していきます。

 水産業の振興については、近年、秋サケをはじめとする主要魚種の生産量減少に加え、台風や高潮などの自然災害により、漁家経営の悪化が懸念されることから、新たに就業意欲の向上と漁業後継者の育成・確保を目的に、漁業者を志す者が入所する北海道漁業研修所への入所費用の一部を支援し、漁業担い手の確保を図ります。

 水産基盤の整備については、尾岱沼衛生管理型漁港整備を引き続き支援するとともに、風蓮湖物揚場建設工事を完了し、衛生管理と漁業生産活動の効率化を図ります。
 また、ニシン、ウニの両種苗生産センターについては、施設・設備の老朽化に対応する計画的な整備を進め、健康な種苗の生産と安定供給を図ります。

 観光振興については、近隣市町との広域連携を一層推進し、管内が一体となった観光PR及び教育旅行や大学ゼミ誘致などによる交流人口の増加を目指します。
 また、町内各団体や事業者と連携しながら、産業、食、自然景観、野鳥などの地域資源を活用した体験型観光の強化に努めます。

 中小企業支援対策は、中小企業融資や創業支援、地元企業の受注機会の確保、商店街の活性化、担い手育成など経営基盤安定のため、中小企業振興策を引き続き実施します。
 また、人口減少や少子高齢化などの社会的不安により経済が停滞している当地域の現状等を考慮し、中小企業利子補給金の特例による増額を平成34年度まで延長しています。
 今後も中小企業の経営安定と基盤強化のため、関係機関と連携しながら金融の円滑化を図ります。

(2)自然と共生するまち

 ごみ処理については、町民、事業者、行政が一体となり、リサイクル率30%を確かなものとするため、積極的に分別ルールの啓発活動に取り組み、一層のごみ減量化を図ります。

 野生鳥獣適正管理の推進については、エゾシカによる農林業等の被害防止対策として、町内全域を対象とした銃器による駆除を春と秋に実施するほか、エゾシカの越冬地となっている野付半島と走古丹地区において、囲いワナによる生体捕獲を継続して実施し、被害の防止に努めます。

 公園の整備については、町民が安心して利用できるように安全点検や補修、更新を計画的に行い、憩える場の確保に努めます。
 また、町民が実のなる木とふれあい、木に親しみながら、秋には収穫する喜びを感じられる環境づくりをさらに進め、自然への興味や関心から、子供達にとって学習機会の提供につながるような公園づくりを進めます。

(3)健やかに暮らせる福祉のまち

 町民が健康で、心豊かにいきいきと暮らしていくことができるよう、健康づくりに関する意識を高め、健康維持の支援に取り組むため、疾病の早期発見や重症化予防を目的とした総合健診、がん検診等、各種検診の勧奨や、町民一人ひとりに合わせた、総合的な健康や栄養の相談を積極的に行います。

 子育て支援の充実については、子ども・子育て支援事業計画に基づき、乳児家庭全戸訪問事業や子育て支援拠点事業など、9つの地域子ども・子育て支援事業を行うとともに、経済的負担を軽減するため、子ども医療費助成や認定こども園利用者負担助成事業のほか、健やかな育ちを町民全員で支援する出産祝金贈呈事業などを引き続き実施します。
 また、保育園運営は、町の責務として待機児童を出さないことを最優先し、地域の実情に即した運営を図り、共働き世帯をしっかりと応援します。
 さらに、本年度から不妊治療助成のほか、不育症に対しても助成を開始し、妊娠から出産、育児と切れ目ない支援に取り組みます。

 障がい者施策については、障がいに係わる総合的な計画である第3期障がい者計画の基本理念「障がいのある人もない人も一人ひとりが輝く共生のまち」の実現を目指し、第5期障がい福祉計画及び第1期障がい児福祉計画に基づき施策を進めます。
 また、本町独自の取り組みとして行っている無料バス利用券交付事業をはじめ、障がい福祉サービスに関する各事業を引き続き実施します。

 高齢者施策については、高齢者が尊厳を保ち、健康で生きがいを持てるよう、つながりのある地域社会の構築を基本理念とした、高齢者保健福祉計画及び第7期介護保険事業計画に基づいて施策を進めます。
 また、高齢者一人ひとりの生活実態に即した介護保険サービスや高齢者保健福祉サ-ビスの提供体制の確保に努めます。

 課題となっている介護職員不足については、介護職員初任者研修の開催、及び受講者に対する支援など、介護事業所と連携して職員の確保に努め、さらに、本年度から給付型奨学金の受給対象者に、介護福祉士養成機関に在学するものを加えて人材確保を図ります。

 国民皆保険の最後の砦である国民健康保険は、安定的な運営や財政基盤強化を目的として、本年度から北海道が財政運営主体となり、町との共同運営となります。
 町は、資格管理をはじめとする窓口業務や、保険給付、国民健康保険税率の決定、及び賦課・徴収等を引き続き担うことから、きめ細かい保健事業の実施や保険税徴収の向上に取り組み、安定的な運営に努めます。

 地域医療を取り巻く環境は、医師不足など依然厳しい状況が続いています。
 引き続き医療機関相互の役割分担と連携の強化に努めてまいりますが、町立病院は、広大な面積を有する本町における唯一の病院であることから、地域の福祉関係施設と独自のネットワークを構築し、地域完結型医療の構築にも取組んでまいります。

 医療従事者の確保については、医師確保推進機関等との連携や、医師の派遣をいただいている札幌医科大学との関係をさらに強化し、奨学資金制度の活用などと合わせ、安定的な医療人材確保に努め、町民が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、求められる医療と高度医療の提供、及び予防医療の推進を図ります。

(4)人を育てる学びのまち

 生涯学習の振興において、全町民が生涯を通じて積極的に学び、その学習成果が人づくり・まちづくりに活かされる生涯学習社会の実現に向けて、学習活動の環境づくりを推進します。

 学校教育に関しては「地域の子どもたちは、地域が育てる」の意識のもと、地域の特色を活かした魅力ある教育を推進する、別海型コミュニティ・スクールを全学校区で推進します。
 地元、別海高等学校の普通科3間口の確保を図るため、新たに行う寄宿施設への支援をはじめとした各種支援を継続していきます。

 青少年の健全育成については、風土、文化等の違いを学び、見聞を広げる大切な機会として友好都市である枚方市と中学生が相互に訪問する「ふれあいの翼交流事業」を引続き実施します。

(5)快適で安全なまち

 仮称、生涯学習センター建設に向けて取り組んでいる「矢臼別演習場周辺まちづくり構想」は、平成29年度で計画作業が終了し、平成30年度は、具体的な施設建設のための実施設計に入ります。
 これまで多くの町民の意見を聴きながら策定した計画を基に、別海町らしい魅力あふれる施設設計を行います。

 住宅施策については、「空き家対策の推進に関する特別措置法」に基づき、本町内の状況を把握しながら、関連計画を整備するとともに、良質な住宅ストックの形成に取り組みます。

 道路事業については、国土交通省、防衛省及び農林水産省などの補助事業の積極的な活用と、加えて町単独事業による計画的な整備を進めます。
 また、上水道、下水道についても、国の補助事業等を有効に活用し、耐震化や長寿命化の施設整備を計画的に実施するとともに、下水道区域外の合併処理浄化槽の普及促進を図ります。

 テレワーク推進事業は、移住定住を促進する「ほらり協議会」が取り組む、移住や起業につながる地域活性化策を継続支援し、協議会と町が共同で取り組みを進めます。

 町民生活の向上と地域の活性化を目的とした長距離高速無線網によるインターネット通信サービスは、通信の大容量化により、通信環境改善のニーズが高まっていることから、民間企業が提供するサービスの内容などとも比較し、今後の整備方法を検討します。

 防災対策は、防災意識の醸成により主体的な避難行動を促すため、自主防災組織などと連携し、避難訓練や講習会を実施して、災害時の被災を最小化できるよう町民意識の高揚を図ります。
 また、在宅で暮らす高齢者や障がい者の方々への支援を目的とした、災害時避難行動要支援者支援制度の充実に努めます。

 法律の改正により、現在使用中のアナログ防災行政無線は、平成34年度までに新たな機器の整備が必要となります。
 整備方法の検討に合わせ、登下校途中の児童生徒など、情報入手の手段を持たない町民に対して、Jアラートなどの緊急情報伝達手段についても検討します。

(6)参画と協働でつくるまち

 自治基本条例や協働の指針を基本として、町民参加や情報開示に取り組んでいますが、さらに開かれたまちづくりを目指し、実施手法の充実を図りながら、町民の意見を行政に反映できるよう取り組みます。
 また、個人や団体からいただいているふるさと納税は、別海町をさらに愛し、応援していただけるよう、事業内容の拡充と周知に努めます。

 高齢者の方や、認知症、障がい等により判断能力が十分でない方の権利を守り、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、行政、受託機関そして関係する組織が連携を取って成年後見制度を活用し、権利擁護に努めます。
 また、障がいのある方に対するあらゆる差別をなくし、その活動や社会参加を制約する障壁を取り除くため、障がいに関する理解促進の研修や啓発事業に取り組みます。

 平和条約の締結に向けた「北方四島における共同経済活動」は、国の主導により隣接地域とも連携しながら対応が進められています。
 本町もこの共同経済活動に積極的に関与するとともに、国及び道と連携して、領土返還運動や、元島民による特別墓参、自由訪問実施などの北方領土対策を推進していきます。

 職員研修については、職務遂行に必要な実務能力をはじめ、政策形成や創造的能力などの向上を目的とした職場外研修に加え、職員の自主性及び一業務にこだわらない多面的能力の向上を図るため、職員自身が企画・立案する研修制度を採り入れて、行政課題の解決と、よりよい地域づくりのために力を発揮できる人材の育成に努めます。

 地方交付税の減額交付が続く中、少子高齢化対策等の社会保障関連経費の増加や、公共施設の改築や改修に多額の財政負担が見込まれるなど、本町の財政状況は、これまで以上に厳しさが増すものと予想しています。
 そのため、第7次別海町総合計画の実施に向け、真に必要な事業の選択を行うべく、将来を見据えた安定的かつ健全な財政基盤の確立を目指した「中長期財政計画」の策定準備を進めます。

 併せて、個別事業または個別施設単位の整備計画や運営状況を諸表に示すなど、「見える化」に向けた取り組みを順次開始するとともに、平成31年10月からの消費税10%引き上げに合わせ、使用料などの公共料金について、受益者負担の原則に基づき見直しの検討を進めます。

3 むすび

 進行する少子高齢化は、町の人口減少はもとより、労働人口を減少させ、地域の産業や財政運営に大きな影響を及ぼすことは明らかです。
 そのような中で、住民と協働して子育て世代をしっかりと支え、健やかで充実した老後を過ごすための枠組みを整備することと合わせ、「次代を担う人づくり」をいかに果たしていくかが今の私たちに求められています。

 新たな町の指標となる、第7次別海町総合計画を創造する1年の始まりに向け、これまで本町の礎を築いてこられた、先人達の高い志と強い意志を引き継ぎ、町民の皆様の声を聞き、皆様と心を一つに、皆様の気持ちを第一に考え、その先頭に立って町政運営に当たってまいります。

 町議会議員及び町民の皆様には、平成30年度の町政運営に対するご理解とご協力を心からお願い申し上げ、行政執行方針といたします。