教育行政執行方針

はじめに

 別海町教育委員会は、『第7次別海町総合計画』のめざす将来像の実現に向け、生涯学習を大切にしてきた風土を礎とし、町長部局や関係機関と連携を図り、基本目標の一つである『生涯を通じて人と文化を育むまちづくり』に関する施策を、地域と一体となり推進します。
 
 なお、新型コロナウイルス感染症対策にかかわり、これまで学校の一斉休業や社会教育施設及び社会体育施設の閉館等が行われるなど、今後についても不透明な状況にあり、今年度予定している事業の中には実施が困難となる事業も予想されますが、子どもたちをはじめ全町民の多様な「学びの保障」について、教育の原点である「手作り感」「ぬくもり感」そして「つながり」を大切にし万全を尽くします。
 

教育行政に臨む基本姿勢

 教育行政の執行に臨む基本となる姿勢として、次の三点を示します。
 
 一点目は、「ふるさと べつかいを支える教育」の推進です。
そのために「ふるさと べつかいで一体となって進める教育」「ふるさと べつかいへの誇りと愛着を持つ人材を育てる教育」を進めます。
 
 二点目は、「社会の変化に対応した教育」の推進です。
そのために、子どもたちが「自ら考え行動する力を育む教育」「社会の変化に主体的に対応可能な能力を育てる教育」を進めます。
 
 三点目は、「つながりを大切にする教育」の推進です。
地域や学校、若い世代から高齢世代、そして現在から未来への「つながり」を大切にする教育に努めます。

主要施策の推進

1 生涯にわたり学ぶ社会教育の推進

 すべての町民が、生きがいを持って暮らせる社会を実現するために、地域の絆を深め、町民が主体となり活力あるコミュニティづくりを通し、生涯にわたって学ぶことができる環境が大切です。
 そのための環境整備においては、今後、まちづくりの主体である町民の活動拠点、そして生涯学習の拠点となる「生涯学習センター」について、2022年度の供用開始に向けて、具体的な施設の運用や事業の準備を進めます。
 
 町民の生涯にわたる多様な学びにおいては、各地区の学びの拠点である各公民館で、母親の学び合いの場である「乳幼児母親家庭教育学級(すくすく学級)」、特色ある体験的活動を行う「アドベンチャースクール」をはじめとする青少年スクールや、高齢者の生きがいを高めるための場である「寿大学」などを通して、幅広い世代のニーズに対応できる学習の場を提供します。
 また、町民へよりわかりやすく、身近な情報を提供するとともに、学習成果を生かす機会の充実を図り、人のつながりを大切にした地域コミュニティの形成を推進します。

 図書館においては、「ブックスタート事業」の継続、乳幼児のための利用しやすい環境整備を図るなど、利用者のニーズの多様化に対応するよう努めます。
 併せて、学校と連携し「学校図書室」の環境整備を進めるとともに、授業で使用する資料貸出しやブックトークを実施します。
 さらに、移動図書館車の運行や上西春別中学校に設置している「地域開放型図書室」の充実に努め、読書率の向上を図ります。
 
 今年度の『べつかい子ども未来議会』は、中学生を対象とし、本町の将来を担う子どもたちの主権者教育を進め、地域の教育力を高めます。

2 生き抜く力を育む学校教育の充実

 本町の将来を担う子どもたちが、予測困難な社会の変化の中、自らの「生き抜く力」を高め、子どもたち自身の将来と「ふるさと べつかい」の未来を築いていくことが重要です。
 
 本町では「人は家庭で育ち、学校で学び、地域で伸びる」と考えています。

 今年度から、全8学校区で本格実施となる「コミュニティ・スクール※1」においては、各学校区の『地域でめざす子ども像』に向け、地域一丸となり、特色を活かした取組の充実を図り、「地域とともにある学校づくり」そして「地域の活性化」へつなげます。
 
 地域の防災に係り、日常の人と人の強いつながりが、災害に強い地域を創る「結果防災」の視点から、「つながり」を大切にした各学校区の防災教育を支援していきます。
 
 幼児教育の充実を推進し、保幼小中の一層の連携を図るとともに、本町の「学校適正配置計画」を基に、コミュニティ・スクールと親和性の高い「小中一貫教育」について各学校区と連携し、調査・研究を進めます。
 今年度から第3次となる「別海町生き抜く力アッププロジェクト事業」では、事業の枠組みを再編成し、「ふるさと教育」と「学びの土台づくり」に力を入れた事業を展開します。
 「ふるさと教育」においては、子どもたちが「自分の将来について自ら考え行動できる力を養う」とともに「別海町の魅力をあらためて学び、別海町に誇りを持つことができる」ことを目的とした事業を実施します。
 今年度は、「別海町の魅力を学ぶ」ことを目的に、子どもから大人まで興味・関心をもつことができる本町独自の社会科の副読本の作成に向けた調査・研究に取組みます。
 「学びの土台づくり」においては、書評合戦である「別海型ビブリオバトル」をはじめとした読書活動を推進するとともに、新聞を教育に活用する「NIE※2」について、あらたに「別海町新聞の日」を設け、月に1度、児童生徒の手元に新聞を配布し、子どもたちの読解力向上に取組みます。
 
 現在、文部科学省で取組を進めている「GIGAスクール構想」においては、子どもたちの「学びを保障」する視点から、「児童生徒1人1台端末の整備」と「高速大容量の校内通信ネットワーク整備」を進めます。
 また、それらを活用するにあたり、一方的な教材提示に終始しない双方向で協働的な学びとなるよう、効果的なICT活用による授業改善を進めます。
 
 不登校やいじめ問題の解決に向け、「教育相談」の充実を図るため、学校と連携を深め、スクールカウンセラー、「ふれあいるーむ」指導員、スクールソーシャルワーカーの積極的な活用を行います。
 また、本町の広域性から、あらたに西地区に「ふれあいるーむ」のサテライトを開設し、不登校やいじめの解決に向けた積極的な対応を進めます。
 
 特別支援教育の充実においては、年々増加傾向にある通常学級で配慮が必要な児童生徒に対応するため、新たな地区へ「通級指導教室」の設置に向けて取組みます。
 
 学校教育の推進においては、学校現場と教育委員会が連携し、信頼を高めて距離感を縮めることが大切であり、それが子どもたちの力につながります。さらに、教師の力を育てていくことが、本町の学力向上につながると考えます。
 今年度は、若手教員や期限付教員の教師力向上に向けて、校長会、教頭会と連携した取組を進めます。
 
 コロナ禍の中、児童生徒の学習意欲を促し、「自律的な学習」に向かう姿勢の育成を図るとともに、保護者の負担軽減のため、多くの児童生徒が受検する「漢字検定」、「英語検定」、「算数・数学検定」について、今年度、試行的に、希望する児童生徒へ受検料を助成します。
 
 学校給食センターは2年間の工事を終え、今年度から本格的な運用を行っています。子どもたちが将来を通じて、健全な食生活を実践できるための「食育」を、各学校と連携し進めていくとともに、食材の地産地消等にも努めながら、安全な学校給食の提供を行います。
 
 これからの地域づくりを担う若者の育成においては、地域に根ざした高等学校教育の継続をめざして、別海高等学校の普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図るため、寄宿施設利用者への助成をはじめとした各種支援事業を、別海高等学校はもとより関係機関と連携し、継続して進めます。
 
※1 コミュニティ・スクール
 学校運営協議会制度を取入れた学校であり、学校・保護者・地域住民が話合いをし、意見を学校運営に反映させ、協働しながら子ども達の成長を支える「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の6)に基づく仕組みのこと。
 
※2 NIE
 Newspaper In Education「教育に新聞を」の略であり、新聞を学校で教材等として活用することで、社会への関心を高め、情報を読解く力、考える力等の育成につなげることが目的である活動のこと。

3 郷土愛と社会性を育む青少年の健全育成

 青少年が本町の次世代の担い手として、夢の実現と目標の達成に向けて、豊かな社会性とふるさと べつかいへの郷土愛を育むため、町ぐるみで施策を推進します。
 
 ふるさと教育においては、学校等と連携し、郷土愛を育むことを目的に、スポーツ、文化活動や「加賀家文書館」をはじめとした社会教育施設を積極的に活用し、ふるさと教育の充実を図ります。
 
 健全育成と生活習慣の改善においては、SNS※3への不適切な投稿などのネットモラルについて、町独自の「メディアコントロールシート」を活用し、子どもが主体的にメディアとの付き合い方を考える機会をとおして、青少年の豊かな社会性と情報モラルの育成を図ります。
 また、地域の特性や人材を活用した青少年スクール事業を通じて、青少年団体の育成と連携の強化を図ります。
 
 なお、青少年の体験・交流により、生きる力と社会性を養うための『少年少女ふれあいの翼交流事業』は、今年度、中止することとしましたが、子どもたちにとって、見聞を広げ、社会性を養う大切な場となっていますので、今後も継続できるよう取組を進めます。

※3 SNS
 ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称であり、WEBサイトや専用アプリで利用できるオンラインサービスのこと。

4 地域に根ざし個性あふれる地域文化の振興

 地域の芸術文化の振興においては、別海町文化連盟をはじめとした各団体への支援により、地域の芸術・文化の振興を図るとともに、貴重な文化財や本町の歴史を学び、理解を深める機会の充実を図ることで、郷土愛の育成に努めます。
 昨年度、リニューアルオープンし、道内外から多くの来場を得た、史跡「旧奥行臼駅逓所」については、今年度も6月2日から一般公開をしています。
 また、旧奥行臼駅逓所をはじめとした奥行地区の貴重な遺跡を散策する「奥行臼散策デー」を開催し、地域の文化財を学ぶ機会の充実を図ります。
 北海道天然記念物である「西別湿原ヤチカンバ群落地」については、恒久的な保護を目的に、専門家による「保護対策検討委員会」を設置し、保護対策と管理に努めるとともに、国の天然記念物指定に向けた調査を進めます。
 郷土資料館は、施設の老朽化が課題となっており、引続き整備方針を検討するとともに、町の歴史、文化や自然に関わる資料の収集、整理保管、調査研究を進め、展示物の充実に努めます。
 また、「ふるさと講座」「郷土学習出前講座」や「出前移動展」を開催し、ふるさと べつかいへの郷土愛の高揚を図ります。

5 活力に満ちた地域をつくるスポーツの振興

 すべての町民が、生涯を通じてスポーツを楽しみ、健康つくりができる「町民皆スポーツ」の実現をめざします。
 そのために、スポーツ協会等と連携をし、地域の特性を活かした、いつでも、だれでも気軽にできる、スポーツの普及を図ります。
 また、スポーツの普及を通し、内外へ地域の魅力を発信するとともに、人と地域のつながりを深めた活力ある地域づくりを推進するほか、障がいのある人も気軽にスポーツ活動に参加できるよう、関係団体と連携し、パラスポーツや健常者との交流を目的とした取組を検討します。
 さらに、国内外のスポーツ界で活躍した選手を講師とする競技力向上セミナーを開催するなど、少年団等の指導者の育成と支援を行うことで、スポーツの振興を図り、スポーツによる町づくりを進めます。
 なお、「別海町パイロットマラソン」は、今年度中止となりましたが、今後もスポーツ交流による人づくりとまちづくりのため、来年令和3年10月3日の開催に向け、多くのランナーの参加が得られるよう準備を進めます。
 

むすび

 教育行政執行方針の実現には、地域・学校・家庭・行政が一体となり、町ぐるみで取組を進めていくことが必要です。
 
 別海町教育委員会は、本町の将来を担う子どもたちが、ふるさと べつかいに誇りを持ち、自ら考えて行動できる力を身につけ、未来を切り拓くことができるよう、そして全町民が生涯にわたって学び続けることができるよう、教育の原点である「手作り感」「ぬくもり感」「つながり」を大切に、本町の教育振興・発展に取組みます。