教育行政執行方針

はじめに

 別海町教育委員会は、平成31年度からスタートする『第7次別海町総合計画』に掲げるまちのめざすべき将来像『人がつながり 未来につながる 海と大地に夢があふれるまち ~いつも心に広がるふるさと べつかい~』の実現に向け、町長部局や関係機関と連携を図りながら、基本目標の一つである『生涯を通じて人と文化を育むまちづくり』に関する施策を、地域ぐるみで推進してまいります。
 また、施策の推進に当たっては、別海町総合計画の社会教育分野の計画として位置づけ、平成31年度から10年間を計画期間として今年3月に策定した『第4次別海町社会教育中期振興計画』に基づき、基本推進目標である「ふるさとに学び つながり まちを創る」の実現をめざし、連動した取組みを推進します。
 
 以下、「すべての世代が学べる社会教育の推進」「将来を生き抜く力を育む学校教育の充実」「郷土愛と社会性を育む青少年の健全育成」「地域に根ざし個性あふれる地域文化の振興」「活力に満ちた地域をつくるスポーツの振興」の5点から、平成31年度に取組む施策の概要について御説明いたします。
 

主要施策の推進

1 すべての世代が学べる社会教育の推進

 現代は、少子超高齢化社会の進行や情報通信技術の急速な発展により、社会環境や家庭生活は大きく変化し、求められる学習ニーズも多様化しています。
 すべての町民が本町の「学びの木」に示す成長の発達課題を達成し生きがいを持って暮らせる社会を実現するためには、生涯にわたって学習できる環境を整えることが必要であり、それは一人ひとりの人生を豊かにするだけではなく、魅力と活力ある地域づくりにつながります。身近な学びの拠点である3つの公民館や図書館等を中心に町民の多様な学習を支援します。

 公民館では、若い母親たちが安心して子育てできるよう、学び合いの機会を提供する「乳幼児母親家庭教育学級(すくすく学級)」や、小学校では学ぶことのできない特色ある体験的学習活動を行う「アドベンチャースクール」、「子ども体験塾」、「チャレンジスクール」、さらには高齢者が社会的活動に参加する意欲や生きがいを高めるための学習・交流の場である「平成寿大学」など、幅広い世代の学習ニーズに対応できる学習機会を引続き提供し、人と人とのつながりを大切にする地域コミュニティの形成に努めます。

 図書館については、「ブックスタート事業」の継続及び乳幼児と保護者が利用しやすい環境整備に取り組むほか、学校との連携により「学校図書室」の環境改善を図り、授業で使用する資料貸出しやブックトーク等も実施します。
 また、移動図書館車の運行や上西春別中学校に設置した「地域開放型図書室」の充実にも努め、読書率の向上を図ります。

 本町の生涯学習の拠点であり、人づくり・まちづくりの中核となる「生涯学習センター」については、2022年度の供用開始に向けて、施設の運用や事業の具体化について準備を進めます。
 今後も社会教育施設を拠点に、団体活動の支援を進めるとともに、その活動の良い影響が地域や学校により伝わるよう「学校応援ボランティアリスト」の充実など、地域と学校が一体となる取組を進めます。

 魅力と活力のある地域づくりには、町民と行政が一体となって地域をつくり、未来へつないでいくことが重要です。
 子どもたちが将来の担い手としての資質を高めるため、子どもたち自身が自分の住む地域やまちに興味や関心を持ち、町政に参画する第一歩となる場として『べつかい町子ども未来議会』を、平成31年度以降、小学生・中学生・高校生を対象に順次実施します。

2 生き抜く力を育む学校教育の充実

 これからの社会は、人工知能やIoT※1をはじめとする急速な技術革新やグローバル化の進展により、大きく変化することが予想されており、文部科学省では、これからの時代を「変化が激しく予測困難な時代」としています。
 そのような状況の中、子どもたちには、これまでの知識や価値観だけでは対応できない時代を生き抜く力が求められており、学校教育においても、学校・家庭・地域が協働しながら子どもたちの成長を支えていく必要があります。
 このことから、本町では、「地域の子どもは地域が育てる」を合言葉に、地域住民が学校運営や必要な支援について話合い、協働を進める「コミュニティ・スクール※2」を町内全ての学校区で試行を含め実施しています。
 平成31年度からは上春別学校区に、2年間の試行期間が終った野付、中西別、上西春別学校区を加えた4学校区で本格実施となります。
 今後も、試行期間の最終年を迎える上風連、中央、中春別、西春別学校区を含めた全学校区で『地域でめざす子ども像』を土台にして、より保幼小中連携の強化を図り、地域の特色を活かした別海型コミュニティ・スクールを推進していきます。
 
 未来を生きる子どもたちは、「知・徳・体」はもちろんのこと、予測困難な変化に対して柔軟に対応できる「生き抜く力」を身につける必要があります。
 本町の独自事業である「生き抜く力アッププロジェクト事業」では、子どもたちの「学力向上」に向け、「別海町子どもの読書活動推進計画」に基づき、図書館司書と連携した魅力ある学校図書館づくり、多読の取組みによる読書活動の推進、教育に新聞を活用するNIE活動※3を積極的に進めています。今後も、「学びの土台」となる「読解力」等の向上に努めます。
 また、子どもたちの「学力向上」には、日常の授業力をはじめとした教師力の向上が不可欠です。秋田県横手市などの先進地を参考に「別海型授業スタイル」を構築し、全教員が授業改善に取り組みます。
 さらに、グローバル化をはじめとした将来を生き抜く力の一つとして外国語指導助手である外国人のALTを増員し、外国語の充実と強化を推進します。
 
 全国的に問題となっている不登校対応については、スクールカウンセラーや「ふれあいるーむ」の指導員との連携を一層進めるとともに、現在、別海中央小学校に配置しているスクールソーシャルワーカーについても、町内全校で組織的対応を図りながら、積極的な登校支援に向けた取組を行います。
 
 特別支援教育の充実では、年々増加傾向にある通常学級で配慮が必要な児童・生徒に対応するため、現在、別海中央小学校のみで実施している「通常学級における通級指導」について、新たな地区への設置に向けた調査や研究を進めます。
 また、特別支援教育に関する教員の専門性の向上を目的に、研修を推進していきます。
 さらに、これまでの特別支援教育支援員に、宿泊を伴う学習指導上の支援を補助する介助員を加え、特別支援教育の充実を図ります。
 
 幼児教育については、「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の姿」を幼児教育と義務教育現場で共有し、「別海版接続カリキュラム」を活用しながら、小学校スタートカリキュラムを協働で作成するなど、就学段階における滑らかな学びの連携を図ります。
 
 平成30年度から工事に着手している学校給食センターは、工事完了を迎えます。2020年度の運用開始に向け、各学校等と連携した食育の場としての活用など事業の具体化について検討を進めます。
 
 これからの地域づくりを担う若者の健全育成において、地域に根ざした高等学校教育の継続をめざして、地元、別海高等学校の普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図るため、寄宿施設利用者への助成をはじめとした各種支援事業を継続していきます。
 
※1 IoT
 Internet of Thingsの略で、さまざまな物をインターネットでつなぎ、その物と情報をやりとりしたり、制御したりするなどの仕組みのこと。
 
※2 コミュニティ・スクール
 学校運営協議会制度を取入れた学校であり、学校・保護者・地域住民が話合いをし、意見を学校運営に反映させ、協働しながら子ども達の成長を支える「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の6)に基づく仕組みのこと。
 
※3 NIE活動
 Newspaper In Education「教育に新聞を」の略であり、新聞を学校で教材等として活用することで、社会への関心を高め、情報を読解く力、考える力等の育成につなげることが目的である活動のこと。

3 郷土愛と社会性を育む青少年の健全育成

 近年、少子化、核家族化等による人間関係の希薄化、基本的な生活習慣の確立不足が社会的な問題とされています。
 そのような中、青少年が本町の次世代の担い手として、豊かな社会性とふるさと「べつかい」への郷土愛を培うよう、各施策に取り組みます。
 平成30年度、本町の「加賀家文書館」の「加賀伝蔵」が、北海道教育委員会が作成した「北海道版道徳教材 きた ものがたり(中学校版)」に、偉人として掲載され、現在、全道の中学校で活用されています。
 引続き「加賀家文書館」をはじめとした社会教育施設の活用を推進するとともに、社会性と郷土愛を育むことを目的に、ふるさと教育※4及び学校における道徳科の授業の充実に努めます。
 
 SNS※5への不適切な投稿等が社会的な問題となっているネットモラルについては、町が独自に取組む「メディアコントロールシート」を活用し、子どもが主体的にメディアとの付き合い方を考える機会をとおして、各学校区の「コミュニティ・スクールの取組」等と連携し、基本的生活習慣の定着と情報モラルの徹底を図ります。
 さらに、情報端末機器やSNSの利用を午後10時には止める「スイッチOFF22」の取組を継続し、本町の生涯学習研究所が行った調査結果を活用するなど、『情報モラル教育』の一層の充実を図ります。
 いじめ未然防止対策については、「別海町子どものいじめ防止に関する基本方針」に基づき、日常からの児童生徒観察をもとに、道教委が年3回実施している、いじめアンケート調査等を活用し、いじめの早期発見と積極的認知に努め、学校全体での早期対応を行います。
 
 友好都市の中学生と相互訪問を行う『少年少女ふれあいの翼交流事業』は、本町の16名の生徒が、枚方市へ訪問します。
 多感な思春期の子どもたちにとって、風土、文化、歴史の違いを同世代との触合いや体験により学び、見聞を広げる大切な機会であるとともに、社会性を培う場となっていますので、事業内容の充実を図りながら引続き推進します。
 
※4 ふるさと教育
 自分が生まれ育った地域の豊かな自然や伝統・文化に親しみ、理解を深めることで、ふるさとへの愛着や誇りを育み、地域社会の一員としてふるさとを大切に想い、貢献しようという気持ちを育てる教育のこと。
 
※5 SNS
 ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称であり、Webサイトや専用アプリで利用できるオンラインサービスのこと。

4 地域に根ざし個性あふれる地域文化の振興

 芸術・文化は、一人ひとりの人生に楽しみと潤いをもたらし、地域の活気と魅力を引出すことに大きな役割を果たし、町民が主体的に活動することにより文化の継承につながります。
 地域文化が、しっかりと地域に根ざし個性あふれるものとなるために、各公民館や郷土資料館が中心となって、学びや芸術文化に触れる機会を提供し、地域文化の振興に取り組みます。
 また、活発な活動を展開する別海町文化連盟の各団体や、自主的な活動を行うサークルと一層の連携を図り、多くの町民が積極的に芸術・文化活動を実践できるよう支援します。
 
 史跡旧奥行臼駅逓所については、保存管理計画に基づく3年間の保存修理工事が終了し、一般開放を再開します。
 また、奥行地区には、貴重な交通遺跡が集中していることから、これらの文化財を観光資源として活用することについて検討を進めます。
 北海道天然記念物に指定されている、西別湿原ヤチカンバ群落地の恒久的な保護を目的に、植物の専門家による「保護対策検討委員会」を設置し、保護対策と管理に努めていますが、今後は、国の天然記念物指定に向け、引続き調査・研究を進めます。
 
 郷土資料館は、施設の老朽化が課題となっていますので、今後の整備方針を検討するとともに、引続き町の歴史、文化や自然に関わる資料の収集、整理保管、調査研究を進め、展示物の充実に努めます。
 また、ふるさと別海への愛郷心の高揚を図るため「ふるさと講座」や「郷土学習出前講座」を実施するとともに、本町の歴史、文化や産業を立体的に表すジオラマ等を積極的に活用した「出前移動展」などを展開します。

5 活力に満ちた地域をつくるスポーツの振興

 明るく豊かで活力に満ちた地域社会をつくる上で、スポーツは大きな役割を担っています。
 スポーツ活動実践に欠かせない施設整備では、町民体育館が施設の機能を高めリニューアルオープンします。今後も長期的な視点で施設の修繕等を行い施設機能の充実と利用の促進を図ります。
 すべての町民が、それぞれの体力や年齢に応じたスポーツ活動を通じ、健康の維持・増進と町内外におけるスポーツ交流が進められるよう、体育協会等と連携し、地域の特性を活かした四季折々のスポーツを推進します。
 また、いつでも誰でも気軽にできるスポーツの普及に努め、障がいのある人も気軽にスポーツ活動に参加できるよう、関係団体とも連携を深め、パラスポーツや健常者との交流を目的とした新たな取組みについても検討し、「町民皆スポーツ」の実現をめざします。
 道東地区唯一の公認フルマラソンコースで開催する「別海町パイロットマラソン」は、引続き地域全体が協働・参加するマラソン大会として、スポーツ交流による人づくりとまちづくりをめざすとともに、道内外から多くのランナーの参加が得られるよう充実に努め、町の魅力を発信します。
 また、国内外のスポーツ界で活躍した選手を講師とする競技力向上セミナー等を実施し、引続き地域におけるスポーツ競技の振興を図ります。
 

むすび

 平成31年度教育行政執行に係る方針の実現に当たっては、町民の参画・協働のもと行政と一体となり、町総ぐるみで取組みを進めていくことが大切です。
 
 別海町教育委員会として、将来を担う本町で育つ子どもたちのために、ふるさと「べつかい」に誇りを持ち、自らの力で明るい未来を切り開いていくことができるよう、学校・家庭・地域と密接な連携を図りながら「連携・共有・発信・工夫」をテーマに学校教育を進めるとともに、全町民が生涯にわたって学び続けることができるよう、生涯学習の視点から本町の教育振興・発展に取り組んでまいります。
 
 最後に、町民の皆様ならびに議員各位の深い御理解と御協力をいただきますよう心からお願い申し上げ、教育行政方針といたします。