教育行政執行方針

はじめに

 本町の将来を担う子ども達にとって、「今後、変化が激しく予測困難な時代」の中、「確かな学力」はもとより、「健やかな体」「豊かな心」を身につけ、『生き抜く力』を育むことが喫緊の課題となっています。
 また、本町の『学びの木』にあるように、「生涯学習」の観点から、全町民が、学び続け、豊かな心を育み、実りある生活を送り、本町の発展につなげることが大切であり、そのためには充実した教育環境をつくることが必要です。

 別海町教育委員会は、平成27年度に改定された教育委員会制度のもと、本町教育の執行機関として責任を担い、総合教育会議等を通じて、町行政と情報共有・連携を図りながら、全町民のために教育行政を推進しています。
 そのような中、今年2月に開催された2018年平昌冬季オリンピック大会では、本町出身の郷 亜里砂選手が、スピードスケート女子500m、1000mに日本代表として出場し、500mにおいて8位入賞の成績を収め、見事な活躍をしたことは、皆さんの記憶に新しいことと思います。
 この他にも、中春別小学校・中春別中学校の第39回全日本リコーダーコンテストの出場をはじめ、多くの学校や団体が「地区大会や全国・全道大会」へ出場し、別海町の名を広めるとともに、別海町で『生き抜いている』強い姿を見せてくれました。

 また、本町の教育研究団体や各学校における研修の充実、そして本町独自の生き抜く力向上策定プロジェクト事業による教師力向上の取組などが、文部科学大臣優秀教員表彰の選出に代表されるように、着実に教員の人材育成につながっており、教師力のある教員が、本町の学校教育の推進を担っていることを実感しています。
 このことは、町全体で取り組んできた学校教育、生涯学習、生涯スポーツ及び地域文化の振興の積み重ねにより育まれてきたものと確信しています。
 
 今後も、これまでの教育に懸けた先人の精神を引継ぎ、「夢と希望にあふれ 輝きに満ちた ふるさとを切り拓く町民を育む」を教育の基本理念に、『生き抜く力』を身につけ将来を担う子ども達、そして『生涯教育』の視点のもと、全町民のために教育行政を執行します。

主要施策の推進

1 生涯学習の振興

 町民が、心豊かに生きがいのある充実した生活を営み、活力に満ちた地域社会を形成するためには、町民一人ひとりが「学びの木」に示す成長の発達課題を達成し、生涯を通じて積極的に学び、その成果を活かして、地域づくりを進めていくことが重要です。

 学習の成果を人づくり・まちづくりに活かす生涯学習社会の実現のため、町民の学習活動を支援し、生涯学習推進の実践研究機関である「別海町生涯教育研究所」等、町内のあらゆる組織を有効に活用しながら、学習成果が地域の発展に活かされる環境づくりを推進します。
 本町の生涯学習の拠点であり、人づくり・まちづくりの中核となる仮称「生涯学習センター」については、完成後の施設の運用や事業の具体化について検討を進めます。
 次代の担い手である子ども達が、生涯学習の実践者として自ら学び、健やかに成長することはもとより、「予測困難な変化の激しい時代」を夢と希望をもって『生き抜く力』を育むためには、学校、家庭及び地域が一層、連携・協力していく必要があります。

 このような社会動向を踏まえ、本町では、「地域の子どもは地域で育てる」という意識のもと、地域住民が学校運営や必要な支援を協議する「学校運営協議会」※1を設置する制度である「コミュニティ・スクール」※2の導入を町内全ての学校区で推進します。
 事業は、導入に向けて2年間の試行期間を設けていますが、その中で、上春別学校区では2年間の試行期間を終えて、今年度から「地域ぐるみ、地域の力で、地域の特色を活かした魅力ある保育・教育」を推進する別海型コミュニティ・スクールを本格導入します。
 平成29年度から野付、中西別、上西春別地区が試行地区となり、今年度から新たに上風連、中央、中春別、西春別学校区を試行地区とし、全ての学校区8区で別海型コミュニティ・スクールについての調査研究を進めます。
 
 また、これからの地域づくりを担う若者の健全育成において、地域に根ざした高等学校教育の継続をめざして、北海道別海高等学校の入学者や保護者を支援するために、今年度から新たに寄宿施設へ支援を実施するとともに、部活動支援、バス通学の全額補助、農業特別専攻科・酪農経営科の海外視察研修助成等の各種支援を継続することで、普通科3間口の確保及び酪農経営科生徒の増員を図り、魅力ある学校づくりを支えます。
 
 選挙権年齢が18歳に引下げられたことを踏まえ、将来の社会の形成者としての資質を高めるため、子ども達自身が自分の住む地域や自治体について興味や関心を持ち、町政への参画の第一歩となる機会として、『(仮称)別海子ども未来議会』の実施に向けて取組を進めます。

※1 学校運営協議会
 学校職員、保護者、地域住民等で組織され、学校運営や必要な支援に関する協議を行う会議のこと。
 法律(地教行法第47条の6)の中で『校長が作成する学校運営の基本方針を承認する』ことが役割として位置づけられている。平成29年3月の法改正により学校運営協議会設置が任意設置から努力義務となった。

※2 コミュニティ・スクール
 学校運営協議会制度を取入れた学校であり、学校・保護者・地域住民が話合いをし、意見を学校運営に反映させ、協働しながら子ども達の成長を支える「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の6)に基づく仕組みのこと。

2 学校教育の充実

 本町の小中学校における学力の向上については、「全国学力学習状況調査」において、小学校が全国平均よりやや低く、中学校が全国平均と同程度という結果となり、とりわけ、算数・数学における知識、技能等を実生活の様々な場面に活用する力の低下が懸念されます。

 本町の独自事業であり、昨年度から2期目に入った「生き抜く力向上策定プロジェクト事業」において、「別海町学校教育総合実践ビジョン」に基づく「生き抜く力」の「学びの土台」となる力を伸長するために、魅力ある学校図書館づくり、多読の取組み等の読書活動の推進や教育に新聞を活用するNIE活動※3を積極的に進めます。
 また、「生き抜く力向上策定プロジェクト事業」の一環である今年度の「別海町子ども会議」で、各校の児童生徒自身が推薦する本を紹介し、それをお互いに競い合う『ビブリオバトル※4』を実施し、『別海町の子ども達が選んだ本50選』をポスターにし、子ども達の読書活動を推進していきます。

 体力・生活力の向上については、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」で、体の柔軟性や跳躍力を測定する種目の結果が過去3年間において全国平均を下回っています。
 また、肥満児の出現率が全国、全道より高く、偏食や少食、孤食など、本町の子ども達の食環境には依然として課題が見られます。
 そのため、本年度も4回目となる「孫わ(は)やさしい」レシピコンテストに取り組み、食事の仕方や内容について子ども達が主体となって話合う機会や場を設け、地産地消の視点も加えた食育指導の充実を一層図ります。
 さらに、毎年、国で実施している『新体力テスト』の結果データを活用するとともに、全校縄跳びや町内の各地域の特色を活かしたスポーツを推奨し、基礎体力の向上を推進します。

 教師力の向上については、本年度も「別海の子どもは、私たちが育てる」を合言葉に、教育先進地である秋田県横手市の視察研修を活かした授業や、学校教育の基準となる学習指導要領の次期改定で柱となる「主体的・対話的で深い学び」に代表されるアクティブ・ラーニング※5を視野に入れた言語活動の充実など、研修内容を工夫しながら「別海型の授業スタイル」を構築し、全教員が授業改善に取り組みます。

 生徒指導の充実については、子ども理解支援ツール※6「ほっと2017」や「Q-U」などを活用し、子どもの心理面を把握する調査を行うなど、よりよい人間関係づくりが実現できるよう指導します。
 また、不登校傾向にある子どもの対応については、子ども達が登校しやすい学校となるよう、居心地良い環境づくりに努めます。さらに、未然防止として、学校が学期ごとに実施している不登校調査を活用し、スクールソーシャルワーカー、保健センターの臨床心理士、ふれあいるーむの指導員などとの連携により、教育相談の充実を図りながら積極的な登校支援を行います。

 特別支援教育の推進については、教育支援委員会で策定した「別海町サポート計画表」を効果的に活用するとともに、合理的配慮や発達検査の理解等の研修をとおして、子ども一人ひとりに応じた必要な支援、適切な指導が保障される教育環境の充実を図ります。
 また、町の教育支援委員会を中心に、保育園・幼稚園・小中学校の日常観察の実施や、保健センター臨床心理士と連携した小学校就学前の5歳児の教育相談など、必要な支援及び適切な指導の一層の充実に努めます。併せて、日常観察を行う上で、子ども達の状況を的確に把握するための研修にも取り組みます。

 幼児教育の充実については、今年度から実施される幼稚園教育要領の中で示されている、「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の姿」を達成するために、これからも教育環境の整備に努めます。
 幼児教育と義務教育の連携については、「生活する力・学ぶ力・かかわる力」の育成に重点を置いた幼児教育と義務教育をつなぐ「別海版接続カリキュラム」を一層活用しながら、就学段階における滑らかな学びの連携を図ります。
 施設の整備については、完了年度となる上西春別中学校の校舎改築のほか、安全安心な給食を提供する学校給食センターの平成32年度の運用開始に向けた工事に着手します。

※3 NIE活動
 Newspaper In Education「教育に新聞を」の略であり、新聞を学校で教材等として活用することで、社会への関心を高め、情報を読解く力、考える力等の育成につなげることが目的である活動のこと。

※4 ビブリオバトル
 参加者が決められた時間の中で、本を紹介し、最後に「どの本が読みたいか」を基準に、投票し合い、最多のものを決定する書評会のこと。

※5 アクティブ・ラーニング
 受け身ではなく、能動的に参加する学習法の総称であり、次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が取入れられる。

※6 子ども理解支援ツール
 児童生徒理解の充実を図るため、児童生徒にアンケート等を実施、児童生徒のコミュニケーションスキルや学級等の満足度を図る調査等の総称のこと。
主に「ほっと2017」は「コミュニケーションスキル」を、「Q-U」は児童生徒の学級満足度等を測定する。

3 社会教育の推進

 地域住民のいちばん身近な学びの拠点である公民館では、各世代の学習ニーズの把握に努め、多彩で特色ある学習機会の提供を図るとともに、学習を通じた地域づくりの拠点として、公民館に集う人と人とのつながりを大切にしながら、地域コミュニティの形成をめざします。

 町内に8大学を設けている「別海町平成寿大学」では、多くの学生が生き生きと学び、自らの教養に磨きをかける姿が見られます。さらに魅力ある大学の運営をめざして、学習意欲を高めるカリキュラムを構築するとともに、自らの経験や知恵を異世代へ伝える交流の機会を充実させます。

 乳幼児母親家庭教育学級(すくすく学級)では、若い母親たちが安心して子育てできるよう、学び合いの機会を提供するとともに、子ども達の生きる力の基礎となる、親子のふれあいや自然とのふれあいを大切に内容の充実を図ります。
 青少年を対象とした「アドベンチャースクール」など様々な体験的学習活動を展開し、子ども達の社会性や自主性を育む活動を推進します。

 図書館では、地域の読書活動の振興を担うとともに、町民の多様な学習を支援する情報の拠点として、町民のニーズや地域課題に対応する様々な情報提供を行い、また、「絵本の福袋」など新たな企画や、展示の実施により、更なる利用促進をめざします。
 また、車両更新した移動図書館車は、本の積載量の増加と、種類の充実により利用者の増加が見込まれることから、引き続き町内45か所のステーションで貸出を行い、誰もが主体的に学ぶことのできる機会を提供します。
 さらに、昨年度、新たに開館した上西春別中学校地域開放型図書室の運営や、道指定の学校図書館活用促進事業を実施する中西別小学校への協力、町内読み聞かせサークルとの連携を行うなど、各学校や地域と協議を行いながら、町の読書活動を推進します。
 また、町民自らの経験や知恵等を学校での授業に活かし、学校をサポートする「学校応援ボランティア」事業を、学校と地域の連携により、推進します。

 「第3次社会教育中期振興計画」は、10年目を迎えることから、後期アクションプログラムに基づき、「人づくり」や「協働のまちづくり」の実践に積極的に取り組むとともに、第4次計画策定に向けた評価を行います。

4 青少年の健全育成

 町が独自に取り組む「メディアコントロールシート」を活用し、子どもが主体的にメディアとの付き合い方を考える機会をとおして、基本的生活習慣の定着と情報モラルの徹底を図ります。
 また、情報端末機器やSNS※7の利用を午後10時には止める「スイッチOFF22」の取組を継続し、本町の生涯学習研究所が行った調査を活用するなど、『情報モラル教育』の一層の向上を図ります。

 いじめ未然防止については、「別海町子どものいじめ防止に関する基本方針」に基づき、道教委で年3回実施しているいじめアンケート調査等を活用し、いじめの早期発見と積極的認知に努め、学校全体での早期対応を行います。
 また、子ども一人ひとりがお互いに思いやる雰囲気づくりが何よりも大切です。各教科等の授業において、子どもがお互いの気持ちを積極的に伝え合う話し合い活動を実践するとともに、豊かなこころの育成をめざし、今後、教科化となる道徳の授業を充実させます。

 友好都市の枚方市と隔年で中学生の相互訪問を行う『ふれあいの翼交流』は、平成5年度から継続して実施している事業で、今年度は本町に15名の生徒を迎えます。多感な思春期の子供達にとって、風土、文化、歴史の違いを同世代との触合いや体験により学び、見聞を広げる大切な機会となっていますので、引き続き事業を推進します。

※7 SNS
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称であり、Webサイトや専用アプリで利用できるオンラインサービスのこと。

5 芸術・文化の振興

 公民館や郷土資料館が中心となって、学ぶ機会や芸術文化に触れる機会を提供するとともに、活発な活動を展開する別海町文化連盟の各団体や、自主的な活動を行うサークルと一層の連携を図り、多くの町民が積極的に参加・創造できる環境づくりを推進します。

 史跡旧奥行臼駅逓所は、保存管理計画に基づく3年間の保存修理工事が今年度で終了することから、平成31年度からの一般開放に向け準備を進めます。
 また、北海道の天然記念物に指定されている、ヤチカンバ群落地を恒久的に保護するため、植物の専門家による「検討委員会」を設置し、保護対策に努めていますが、今後は国の天然記念物指定に向けた調査・研究を進めます。
 郷土資料館では、町の歴史、文化や自然に関わる資料の収集、整理保管、調査研究を進め、展示物の充実に努めます。
 また、町の歴史や自然を学ぶ機会として「ふるさと講座」や「郷土学習出前講座」を実施するとともに、農業の変遷を立体的に表すジオラマ等を積極的に活用した「出前移動展」などの教育普及活動を展開します。

6 スポーツの振興

 すべての町民がそれぞれの体力や年齢に応じたスポーツ活動を行い、健康の維持・増進と町内外におけるスポーツ交流が進められるよう、地域の特性を活かした四季折々のスポーツを推進します。
 さらに、いつでも誰でも気軽にできるスポーツの普及に努め、関係団体とも連携を深めながら「町民皆スポーツ」の実現をめざします。

 スポーツ施設の整備については、外部改修工事を終えた町民体育館の内部改修工事を実施します。今後も老朽化が進む各施設を計画的に補修し、施設機能の維持に努めます。
 道東地区唯一の公認フルマラソンコースで開催する「別海町パイロットマラソン大会」は、多くのボランティアの方々に支えられ、本町を代表するスポーツイベントへと成長し、本年度は第40回の記念大会となります。地域全体が協働・参加するマラソン大会として、スポーツ交流による人づくりとまちづくりをめざすとともに、道内外から多くのランナーの参加が得られるよう充実に努め、引き続き町の魅力を発信します。
 また、国内外のスポーツ界で活躍した選手を講師とする競技力向上セミナー等の実施に向けた活動を展開し、地域におけるスポーツ競技の振興を図ります。

おわりに

 平成30年度教育行政執行に係る方針の実現に当たっては、協働のまちづくり精神のもと、全町民の理解と協力の上、町総がかりで実施していくことが大切です。
 別海町教育委員会として、将来を担う子ども達のために、自らの力で明るい未来を開いていくことができるよう、学校、家庭及び地域と密接な連携を図り学校教育を進めるとともに、全町民が生涯にわたって学び続けることができるよう、本町の教育振興発展に取り組みます。