野付半島

大自然のアート

 知床半島と根室半島の中間に位置し、オホーツク海に腕を伸ばすようにして広がるのが野付半島。全長約26kmの日本最大の砂嘴(さし)です。 砂嘴とは、海流により運ばれた砂が、長年に渡って堆積して作られた地形のことです。海流の浸食によってできた複雑に入り組んだ海岸線も、野付半島が多様な生命を育んでいる要因のひとつです。
 また、野付半島沖の海底は起伏が多く、潮流も早いことから、道内でも有数の漁場となっています。

歴史

 野付半島の中央部にあるオンニクル遺跡では、擦文時代の竪穴式住居が数多く発見されています。半島の沖でもマンモスの化石が何度も発見されていることなどから、ここでは太古の昔から数多くの生命の営みが繰り返されてきたと考えられます。
 また、江戸時代の中期から末期にかけて、野付半島は船で国後や千島列島に渡る際の中継地点、交通の要所として繁栄し、北方警備の任にあたる武士が駐在する通行屋も設けられていました。

幻の街キラク

 「江戸時代から明治の初期にかけて、野付半島の先端に港町として栄えた「キラク」という街があった。武家屋敷が立ち並ぶ街の道は敷石で整備され、遊郭があって女性もたくさん住んでいたらしい」。野付半島では、このような話が古老によって語り継がれてきました。
 しかし、古い地図や文献には「キラク」があったことを立証する明確な記述はなく、幻の街として今も人々の歴史ロマンをかきたてています。
 

地図情報