会員の声1

 2006年8月に根室のカニかご漁船がロシア国境警備艇に銃撃・拿捕される事件が発生し、若い漁民の尊い命が奪われました。
 この海域で働いている一人として、大きな衝撃を受け他人事とは思えませんでした。
 戦後70年以上、北方領土返還に向け多くの人々が運動し、世論を高め、国を動かしてきましたが、残念ながらここまで一喜一憂の道程でありました。
 私は元島民二世であります。
 真に運動に心血を注いでこられた人々、元島民の心情はやりきれなく、さぞ悔しいことだろうと思います。
 私はかつて中間ライン付近で漁をしていたこともあり、警備艇やヘリコプターから照明弾を受けたこと、流氷の海で、半ば浸水状態で臨検を受けたこともありました。
※ 臨検~立ち入って検査すること

 その時は金なんか要らない。安全な海で働きたいと考えました。
 当時は正直いって国内法に触れたこともありました。
 漁師の心情としては少しでも豊かな漁場を求めているのです。
 まして、固有の領土(領海)を掲げる先祖の拓いた海へ行けない歯がゆさがありました。
 近年は両国の主権を棚上げし安全操業も実施されていますが、その対策の恩恵も海域により一律ではありません。
 銃撃事件の真相はわかりませんが、根底に領土問題の未解決があることも事実であります。
 私は、今まで受けた北方領土に関する教育が法治国家の日本において真実であると受け止めていますが、対するロシア人にとっても自国の歴史を信じる気持ちは同じなのでしょう。
 現状ではこれからもなかなか先の見えない交渉となりそうですが、諺に「二兎を追うものは一兎をも得ず」という例えがあります。
 四島を求めるものは二島を得ずにならないようある時、あるトップ同士が英断をもって解決できないものだろうか?
 一日も早い平和な海を求める!