【令和4年4月13日】畜産業の第三者継承の初期投資負担の軽減化について

【令和4年4月13日】畜産業の第三者継承の初期投資負担の軽減化について

 一、跡取りのない畜産業の継承にも雇用同様、畜産業固有の「働き方改革」による新規参入しやすい手段の提供が必要です。貴町としてどんな軽減化支援をされておられるのですか。
 
 二、農場リースによる債務負担は新規参入者にとっての決断に大きな影響を及ぼす。初期投資の軽減化にどんな制度改革が必要とお考えですか。
 
 三、畜産業の近代化に欠かせない最新糞尿分離自動処理施設への初期投資負担は益々大きくなるばかりで個人の第三者継承では対応できない金額となるように思う。
 
 以上の畜産業への第三者により新規参入への障壁をなくすにには「共用(複数事業者への賃貸又は日貸し)放牧場付き牛舎(年間賃料と共益費)の包括的賃貸物件」の提供による初期投資の軽減化提案をしたい。具体化には貴町にあるか否かはわかりませんが畜産団体主導で公共放牧場の一角を借りて(定期借地)畜産団体の管理・運営の下で共用スペース付きの区分貸し牧舎を建て、跡取りのない個人農家招致と複数の新規参入者を同時に誘致したい。農家は保有牛を持ち込み、新規参入者はそれぞれの飼養頭数への初期投資だけで共用スペースとしての搾乳スペース、子牛出産・育成スペースでの農家による直接指導を仰ぐことができる。最新糞尿処理施設での協働衛生作業や給餌作業等で、「働き方改革」もしやすく、外部畜産業者へのヘルパーアルバイトにも外出しやすい。定着者へ農家が持ち込んだ保有牛を譲渡継承で新たな放牧場への移転が必要になれば、次なる専用又は「共有放牧場付き牧舎」をあてがえばよい。成業者となれなかった新規定着者はヘルパー兼業や他の農業業態との副業的畜産業となってでも、地域に必要で貢献できる人材として定住してもらえば新規参入しやすい手段の提供の成果となる。

【令和4年4月20日】農政課回答

 この度は、貴重なご意見・ご要望をいただきありがとうございます。
 いただきましたご意見・ご要望について、下記のとおり回答させていただきます。

 一 跡取りのない畜産業の継承にも雇用同様、畜産業固有の「働き方改革」による新規参入しやすい手段の提供が必要です。貴町としてどんな軽減化支援をされておられるのですか。

 ご質問のとおり別海町においても後継者不足による離農及び新規就農対策は最重要課題となっており、改善に向けて日々取り組んでいるところです。
 まず、後継者対策については、別海町産業後継者対策相談所を立ち上げ、後継者の婚姻を後押しすることで、後継者不足の一助となるよう取り組み、これまでに93組が成婚しています。
 次に新規参入についてですが、別海町では酪農家戸数の減少に歯止めをかけるため、平成9年に、農業未経験の方でも新規参入までのノウハウを学べる研修施設として別海町酪農研修牧場を設立しました。
 本施設では、研修手当(給与)を受けながら最長3年間の実地研修、座学研修を受けたのち、離農跡地に居抜きで就農を目指す施設となっており、これまでに80組が新規就農を果たしています。
 新規参入時には、別海町から奨励金として300万円と農協から300万円、各種リース料の合計額の1/3、上限100万円を3年間助成、固定資産税相当額として年間25万円を上限に3年間助成、その他住宅改修に100万円や搾乳牛の導入費に対して100万円を上限に助成するなど、新規参入時の負担を軽減するため様々な支援を行っています。

 二 農場リースによる債務負担は新規参入者にとっての決断に大きな影響を及ぼす。初期投資の軽減化にどんな制度改革が必要とお考えですか。

 酪農業への新規参入には規模にもよりますが、多額の初期投資がかかり、その金額は年々上昇しています。そのため、新規参入を考えている方には必ず初期投資とその後数年の経営収支についてお伝えし、人生の大きな決断をしていただいています。令和4年度からは、国の施策によりその初期投資への支援が拡充されたものの、まだ不安解消の域には達していないように感じています。それを補うため、先述の各種助成を町の単独事業で行っていますが、これらに対する国からの補助があれば、さらに上乗せした助成が可能になります。また、農業分野は他業種に比べると、融資や投資、利息を含めた助成等幅広く用意されているため、各種要件の緩和や金額の増額について期待をしているところです。

 三 畜産業の近代化に欠かせない最新糞尿分離自動処理施設への初期投資負担は益々大きくなるばかりで個人の第三者継承では対応できない金額になるように思う。

 スラリーストアやバイオガスプラント等のことかと推察しますが、ご指摘のとおり個人で施設整備を行う場合、通常であれば大きな負担となります。
 本町における糞尿処理施設整備については、平成11年から国営かんがい排水事業を実施しており、本事業の活用により農家の負担軽減が図られるとともに、環境にも配慮した施設整備が行われています。
 また、新規参入者については、既に糞尿処理施設が整備されている場所へ就農するケースが多いことから、個人の第三者継承であっても対応できないことはないものと考えています。

 以上の畜産業への第三者による新規参入への障壁をなくすには「共用(複数事業者への賃貸又は日貸し)放牧場付き牧舎(年間賃料と共益費)の包括的賃貸物件」の提供による初期投資の軽減化提案をしたい。具体化には貴町にあるか否かはわかりませんが畜産団体主導で公共放牧場の一角を借りて(定期借地)畜産団体の管理・運営の下で共用スペース付きの区分貸し牧舎を建て、跡取りのない個人農家招致と複数の新規参入者を同時に誘致したい。農家は保有牛を持ち込み、新規参入者はそれぞれの飼養頭数への初期投資だけで共用スペースとしての搾乳スペース、子牛出産・育成スペースでの農家による直接指導を仰ぐことができる。最新糞尿処理施設での協働衛生作業や給餌作業等で、「働き方改革」もしやすく、外部畜産業者へのヘルパーアルバイトにも外出しやすい。定着者へ農家が持ち込んだ保有牛を譲渡継承で新たな放牧場への移転が必要になれば、次なる専用又は「共用放牧場付き牧舎」をあてがえばよい。成業者となれなかった新規定着者はヘルパー兼業や他の農業業態との副業的畜産業となってでも、地域に必要で貢献できる人材として定住してもらえば新規参入しやすい手段の提供の成果となる。

 ご提案の内容は新規参入や人材確保という面でとても参考になるご意見だと考えています。
 先述で少し触れさせていただきましたが、別海町では、未経験でも就農ができるように別海町酪農研修牧場を設立し、新規参入希望者や酪農業従事希望者を募り、地域の経営スタイルに合わせたタイストール牛舎と、フリーストール牛舎の作業内容が違う2種類の牛舎と186haの牧草地で技術の習得と応用研修を行っています。そのほか、酪農の経営や圃場管理等、就農後に必要な知識を得られる座学研修も実施しており、技術と知識の両面でサポートしています。研修期間は3年で、研修最終年には実際に就農先となる酪農家において農家研修を行い就農に備えるなど、就農後も、町や農協などの関係機関が一丸となってサポートする体制が整っています。
 また、別海町には、牛の預託を行う共同牧場や餌を扱うTMRセンターも整備されていることから、酪農のまちならではの受入体制がら助成制度を含め、比較的新規参入を目指す環境は整っているものと考えています。