教育行政執行方針

1 はじめに

 少子高齢化や国際情勢の不安定化、AIなどデジタル技術の進展により社会の不確実性がこれまでになく高まっています。このような社会の中にあっては、子どもから大人までが生涯にわたり主体的に学び続ける力の重要性が増しています。
 教育委員会は、多様な個人の幸せと地域全体の豊かさを実現するため、「学びの木」を拠り所として、社会教育と学校教育が連携した教育行政を推進します。

2 教育行政に臨む基本姿勢

学びの木を軸としたウェルビーイングの向上

 ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に幸せな状態にあること」であり、今だけでなく将来にわたる幸せを意味し、また、個人のみならず、地域や社会が持続的に良い状態にあることを含んでいます。
 教育委員会では、「人づくり」「つながりづくり」「地域づくり」の役割を担う社会教育と、「生きる力」を育む学校教育が連携して「学びの木」の実現を図り、「郷土愛を礎に主体的に生きる別海町民」、「協働してふるさとの未来を創る別海町民」を目指しています。
 大人は、「地域の子どもは地域が育てる」という意識を持ち、子どもたちに人生観や勤労観、知恵、技術、開拓の労苦などを伝え、子どもたちは、ふるさと別海を愛する心を基盤にしながら、自分の未来とふるさとの未来の在り方を考える力を身に付けられるように「ふるさとキャリア教育」を推進します。

3 主要施策の推進

(1) 生涯にわたり学ぶ社会教育の推進

 全ての町民が、生きがいを持って暮らせる社会を実現するために、各社会教育施設を拠点とした町民主体の活力ある地域コミュニティづくりを通し、生涯にわたり学ぶことができる環境づくり・学びのきっかけづくりを進めます。
 そのために、「学びの木」を生涯学習の拠り所とし、令和7年度に28年ぶりに改訂した「学びの木」の活用の手引きを踏まえながら、乳幼児から高齢者まで一人ひとりが自分らしく生きるための学びや育ちにつながるよう、生涯教育研究所において調査研究を進めます。
 さらに、これまで各公民館で実施している「青少年事業」や、「寿大学」、「各種講座」などを継続するとともに、「人づくり・つながりづくり・地域づくり」の3つの社会教育の効果を生み出せるよう、関係機関等との幅広い連携により、すべての人々が参画できる共生社会の実現に向けた学習プログラムの充実を図ります。
 また、人生100年時代を豊かに生きるため、「学びの木」を礎に、町民一人ひとりの関心やライフステージに応じた学びの機会を通じて、自己の達成感や充実感を感じられるよう、施策を進めていきます。

 図書館では、乳幼児期から本に親しむための「ブックスタート事業」や「小さい子のおはなしの時間」、「赤ちゃんタイム」など、親子で利用しやすい読書環境の整備を図ります。また、読書バリアフリーの視点から誰もが、文字・活字文化の恩恵を受けられるよう、LLブックや大活字本、布絵本などの資料を配置するとともに、「高齢者等図書宅配サービス」の継続など、利用者ニーズの多様化に対応します。

 学校との連携については、子どもたちの学びを支えるための「団体貸出し」や「わくわく読書会」などを引き続き実施します。

 「移動図書館車」と「上西春別地域開放型図書室」の充実に努めるとともに、読み聞かせボランティアなどと協働して、交流会や図書館カフェを実施し、読書を通じた地域コミュニティづくりと町民が集い学べる主体的な読書環境の充実を図ります。

 さらに、郷土についてより深く知るための地域資料を積極的に収集するとともに、後世に良好な状態で保存するために資料のデジタル化を進めます。

(2) 生きる力を育む学校教育の充実

 子どもたちが、地域への誇りと愛着を持ち、社会で自立し、自分らしい生き方を実現できるよう「ふるさとキャリア教育」を充実させます。各地区のコミュニティ・スクールとの連携を図りながら、別海町への愛着をもとに、将来にわたって地域を支える人材になるよう、地域社会が抱える課題解決に貢献できる人を育みます。

 今日、我が国はAIなどのデジタル技術の革新、グローバル化の進展、人口減少社会の到来など、これまでに経験したことのない時代を迎えています。このような変化の激しい社会を生き抜くためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得はもとより、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力、そして主体的に学習に取り組む態度を身に付けることが不可欠です。子どもたちが将来に夢と希望を持ち、変化の激しい社会をたくましく「生きる力」を育みます。

 また、子ども一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」を育むことを目的に「小中一貫教育」を推進します。

 義務教育9年間の学びの連続性を確保し、児童生徒の発達段階に応じた支援を行えるよう、地域の実情に応じた学校の在り方について検討を続けていきます。各学校区においては、教育目標や目指す子ども像を共有するとともに、異校種の児童生徒間での交流授業や合同行事を通し、中学校への不安を解消しながら、良好な人間関係が構築できるよう教育活動を展開します。

 保育園や幼稚園の5歳児から小学校1年生への「架け橋期」のカリキュラムは、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を目指し、子どもたちの生涯にわたる学びや生活基盤を育むため、更なる充実を図ります。
 また、別海高等学校との連携を更に強化し、本町で学ぶ全ての子どもたちの「学びの連続性」を確かなものにしていきます。

 支援を必要とする児童生徒が増加傾向にあることから、特別支援教育支援員を増員し、通級指導教室の充実を図りながら、全ての児童生徒が等しく学び、成長する機会を提供します。
 また、将来的に自立して社会に参加できるよう特別支援サポートソフトを活用し、一人ひとりの教育的ニーズを的確に把握しながら、得意なことを伸ばし、生活や学習で困っていることを克服できるように適切な支援を行うなど、特別支援教育の充実を図ります。

 学校は、児童生徒と日常的に接する場であることから、登校状況や生活態度の些細な変化に気づくことにより、虐待やヤングケアラーを早期発見するなど、重要な役割を担っています。そのような事象が疑われる際は、スクールソーシャルワーカーや子ども家庭センターなどの関係機関と連携を図り支援体制を整えます。

 いじめは絶対に許されない行為ですが、どの子どもにも、どの学校でも起こりうるものであるという認識のもと、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組みます。
 また、「別海町子どもいじめ防止に関する基本方針」に基づき、全ての児童生徒が安心して生活ができるよう、いじめ防止等の対策に取り組みます。

 不登校の児童生徒の状態に応じて、「ふれあいるーむ」や「ふれあいるーむサテライト」の活用を促すとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ふれあいるーむ指導員が家庭や学校と連携しながら、不登校児童生徒への多様な支援を継続します。

 子どもたち一人ひとりが「生きる力」を身に付け、ウェルビーイングを実感できる授業づくりを進めます。「教師が教える授業」から「子どもが学び合う授業」への授業改革を継続し、子どもたちが、自己調整をしながら主体的に学ぶ力を育みます。

 さらに、「学びの土台づくり」として、「別海町ビブリオバトル」を核とした読書活動を推進するとともに、「別海町新聞の日」には、児童生徒一人ひとりに新聞を配付するなど、新聞や新聞を素材としたデジタル教材を積極的に活用し、読解力を中心とした子どもたちの資質・能力を高める取組を継続します。

 老朽化が進む別海中央小学校及び別海中央中学校の現状や、中学校進学時の環境の変化を和らげるほか、教員同士の連携強化や学校における異学年交流などにより、子どもたちによりよい学びの場の提供が期待される小中一貫教育を町としてより一層推進するため、中央地区における校舎一体型の義務教育学校設立に向けて、児童・生徒、教職員、保護者や地域の方からの幅広い意見を伺いながら進めます。

 学校給食センターでは、子育て支援として、小中学校の児童生徒の給食費を無償としています。別海町や北海道産の農水産物の使用に努め、郷土の食材や食文化への関心が高まるよう継続して食育に取り組みます。
 また、安全で安心なおいしい給食の提供を継続しつつ、食物アレルギーを持つ児童生徒への対応やフードロス削減に向けた献立の工夫にも配慮します。

 子どもたちに対して効果的な教育活動を行うためには、学校における教職員の働き方改革が必要です。教職員のウェルビーイングを重視することは、教職員自らの授業力を高めるとともに日々の生活の質を向上させることができ、子どもたちによりよい学びを提供することにつながります。
 学校閉庁日の拡充や長期休業期間中における在宅勤務などの取組を継続して実施するほか、校務DXを更に推進することで働き方改革をより一層進めるとともに、ICT教育などの研修機会の充実を図ります。
 また、部活動の地域展開については、先行して実施している部活動の状況を確認・検証するとともに、他の部活動への拡充に向けて、調査・協議を進めます。
 地域を担う若者の育成においては、別海高等学校の普通科及び酪農経営科の生徒の確保を目的とした各種支援事業を継続するとともに、寄宿施設については、施設の今後の在り方について検討を進め、地域に根ざした高等学校教育の支援を行います。

(3) 郷土愛と社会性を育む青少年の健全育成

 本町の次世代の担い手となる青少年に豊かな社会性とふるさと別海への郷土愛を育むため、時代にあった施策を推進します。
 ふるさと教育では、学校や地域と連携し、社会教育施設や地域人材等を活用しながら、郷土愛を育むための教育の充実に努めます。
 青少年の健全育成においては、ジュニア・ハローワークをはじめとする「ふるさとキャリア教育」に関する取組を発展させ、地域との関わりを通して郷土愛や自己有用感、社会性を育む人材育成を推進します。
 また、発達段階に応じた情報リテラシーの育成を目的として、子どもやその家族が、主体的にメディアとの付き合い方を考える機会となるよう、町独自の「メディアコントロール」に関わる取組を進めます。
 さらに、友好都市交流事業をはじめとした体験的な活動や、青少年が安心して集い、主体的に過ごすことのできる居場所づくりを進め、仲間や地域との関わりを通じて社会性を育む人材育成を推進します。

(4) 地域に根ざし個性あふれる地域の芸術文化の振興

 地域における芸術文化の振興は、別海町文化連盟をはじめとした各団体と連携しながら、町民一人ひとりが幸せや生きがいを実感でき、町や地域全体も豊かさを享受できる芸術文化事業の実施と参画機会の提供を図ります。
 さらに、地域の歴史を知り未来を考えるための貴重な資料である文化財、「別海のおたから」の保存と活用に取り組むため、歴史を学び、理解を深める機会の拡充を図り、さらなる郷土愛の高揚に努めます。

 国の天然記念物に指定された「西別湿原ヤチカンバ群落」を恒久的に保存していくため、西別湿原ヤチカンバ保存活用計画の策定を進めます。

 郷土資料館は、町の歴史、文化や自然に関わる資料の収集、整理保管、調査研究を引き続き進めるとともに、「ふるさと講座」、「郷土学習出前講座」や「出前移動展」を積極的に開催し、地域の記憶を次世代に継承していきます。
 また、加賀家文書館は、アイヌ政策推進交付金事業を活用し、展示資料の整備と充実を図ります。

(5) 活力に満ちた地域をつくるスポーツの振興

 地域の特性やスポーツ施設を有効活用し、スポーツ協会等と連携しながら、いつでも誰でも気軽にできるスポーツの普及を図るとともに、全ての町民が生涯を通じてスポーツを楽しみ、健康づくりができる「町民皆スポーツ」の実現を目指します。

 スポーツイベントや町民のニーズに合わせたスポーツ教室を通し、人と地域のつながりを深め、能力・適性・興味などの多様性のあるスポーツ活動を気軽に選べる機会を提供します。

 また、少年団等の育成と支援を行うことで、スポーツの振興とスポーツによるまちづくりを進めるとともに、スポーツ関係団体とも連携を図り、スポーツの発展に努めます。

 別海町パイロットマラソンについては、令和7年度からスタートやゴール地点と、コースの一部を変更しました。今年度も実施内容を精査しながら、ランナーだけでなく、多くの町民の方も楽しめる大会を目指します。
 また、今後もスポーツ交流による人づくり・つながりづくり・まちづくりを促進するため、令和8年10月4日の開催に向け、多くのランナーの参加が得られるよう準備を進めます。

4 むすび

 変化の激しいこの社会において、自らの人生を主体的に切り拓いていく力を身に付けることの重要性が、ますます高まっています。

 教育行政の執行方針を具現化するためには、地域・家庭・学校・行政が一体となり、それぞれの役割を果たしつつ、相互に連携することが求められます。

 教育委員会は、全町民がウェルビーイングを向上させ、「別海を愛する心を持って主体的に生きるための学び」や「協働してふるさと別海の未来を創るための学び」を充実させるよう、教育行政を推進します。

 とりわけ、子どもたちは町の未来の創造を担う大切な宝です。全ての子どもたちが安心して学び、心身ともに健やかに成長できる教育環境の整備に努めるとともに、学校における学びやスポーツ、文化などを通して、未来を担う人材の育成に取り組みます。

 地域や学校、子どもたちの声に耳を傾けて教育に携わる全ての皆様と志を一つにし、別海町の未来を担う人づくりに取り組んでいくことをお誓い申し上げ、教育行政執行方針といたします。