西別湿原ヤチカンバ群落

- 指定区分 天然記念物
- かな名称 にしべつしつげんやちかんばぐんらく
- 指定年月日 令和6年2月21日
- 所在地 別海71番3、71番6、71番25、71番26、中西別170番11
ヤチカンバは、カバノキ科カバノキ属の低木で、主にユーラシア大陸北東部に分布し、国内では2か所にのみ隔離分布する氷期の遺存種です。大陸と日本列島が陸続きだった氷期には連続的に分布していたヤチカンバが、氷期後の温暖化による大陸との分断に伴い隔離されたと考えられています。
西別湿原は、ヤチカンバの国内分布地のひとつとして良好なものであり、ミズゴケ群落がよく発達しイソツツジやガンコウラン、ヒメツルコケモモなど北海道東部の湿原に特徴的な種がよく見られる一方で、ヤチカンバの生育地という希有な特徴を有します。
西別湿原におけるボーリング調査の結果から、亜寒帯針葉樹林に覆われていた最終氷期最盛期から落葉広葉樹林が広がった完新世までほぼ連続してヤチカンバが分布していたことが明らかになりました。また、ヤチカンバの遺伝分析の結果からは、国内のヤチカンバ集団には遺伝的分化が認められませんでした。大陸と北海道のヤチカンバの遺伝的分化は解明されていないものの、両者の間には葉の形質に明確な違いはなく、北海道のヤチカンバは主に栄養繁殖で増えるため隔離後の世代交代が限られていることから過去の遺伝的多様性をかなり維持していると考えられています。
このように西別湿原ヤチカンバ群落は植物地理学的、遺伝学的に価値が高く、令和6年2月21日に国の天然記念物に指定されたことから、一層の保護を図るものです。
注意
国指定天然記念物指定地のため、次の土地に許可無く立ち入り現状を変更したり、天然記念物の保存に影響を及ぼす行為をした者は、文化財保護法第196条・第197条により罰せられます。
- 指定地 別海町別海71番3、71番6、71番25、26、中西別170番11
出版物
- 北海道指定天然記念物「西別湿原ヤチカンバ群落地」調査報告書(2013年)(PDF形式:2MB)
- 西別湿原ヤチカンバ群落地調査報告書(2022年)(PDF形式:19MB)
- 同書附録:平成31年度西別湿原ヤチカンバ群落地調査業務委託成果品の一部(PDF形式:10MB)
- 同書附録:令和2年度西別湿原ヤチカンバ群落地調査業務委託成果品の一部(PDF形式:10MB)
地図情報
指定範囲図
- 指定範囲図(形式:332KB)
このページに関するお問合せ先
教育委員会 郷土資料館 文化財担当 TEL:0153-75-0802 FAX:0153-75-0802