地域研修を終えて(令和7年7月)
友好都市である大阪府枚方市から地域医療研修に参りまして、1ヶ月間お世話になりました。酪農と漁業の町・別海に密着した医療がどのようなものであるかを学ぶ機会となりました。
初日にまず院長先生と回診をした際、内科病棟に入院している40人以上の患者さんすべてを院長先生一人で診ておられることに敬意を抱きました。加えて、研修後に振り返ると、これは看護師などスタッフの方々との手厚い連携があるからこそ成り立っており、文字通りチーム医療が行われていることを体感しました。
初日にまず院長先生と回診をした際、内科病棟に入院している40人以上の患者さんすべてを院長先生一人で診ておられることに敬意を抱きました。加えて、研修後に振り返ると、これは看護師などスタッフの方々との手厚い連携があるからこそ成り立っており、文字通りチーム医療が行われていることを体感しました。
特定の科を研修することが多い研修基幹病院では、臨床研修で求められる一般外来を経験できる時間が短くなりがちでした。しかしこの地域医療研修で内科外来を多数見学させていただき、プライマリ・ケアの側面を持った特定の疾患群に限定しない診療、たとえば生活習慣病の指導や服薬調整、多様な疾患への対応・処方などを密に学ぶことができました。
また、地域の特性を感じる場面も多くありました。私が滞在した7月は北海道史上最大級の猛暑で、脱水症状の患者さんが多く見られました。暑くなることが珍しいため非冷房住宅が多く、また防寒対策で気密性が高く温室効果があるので室内が高温になりやすいといった特徴が影響していることを感じました。酪農や漁業の盛んな地域であり、夜間や早朝に仕事をしている方も多いため、患者さんごとの生活スタイルが大きく異なり、薬の服用タイミングなどへの配慮が必要であることも学びました。
学部教育で触れる機会の少ない漢方薬の使用機会も多く、知識を深めるきっかけとなりました。外来患者さんの中には、うつ症状を抱えている方もおり、そのような方には適切な専門職への紹介が重要であることも学びました。
外科では、整形外科の手術の介助や、縫合処置や胸腔穿刺など、多くの手技を体験させていただきました。小児科では、3歳児検診を経験させていただき、発達の遅れの有無や四肢・頭頸部・生殖器などの異常をくまなく確認することの重要性を学びました。
医師は主に救急医療で消防署の方々にもお世話になるため、別海消防署でも実習させて頂きました。外傷患者さんの現場搬送の流れや注意点のみならず、高所からのロープ降下訓練も体験させていただき貴重な機会となりました。
救急医療やベッドコントロールに関わる問題として、患者が入院する流れに関する入口問題と患者が退院する流れに関する出口問題がありますが、入口問題は大阪に比べて良好だと感じました。救急搬送が必要な症例で、都会では搬送先の決定に時間を要することが多いのに対し、別海町では搬送先が原則として別海病院に限られるため、選定の時点で時間を失うことは少ないそうです。別海病院でも処置が困難な症例や手術が必要な症例は釧路市の病院が転院を受け入れてくださることが多く、病院間の信頼関係も実感しました。出口問題については、高齢の方や医療依存度の高い患者さんが多く、在宅に戻る準備が難しかったり、介護施設の受け入れ先がなかったりして退院が長引くケースもあるものの、別海病院の近隣には特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどが整備されており、それらの利用を検討しつつ、看護師さんやソーシャルワーカーの方と連携して退院調整が行われていました。
また、退院後の生活に介護や支援が必要な患者さんも多く、介護保険を申請する際に必要な主治医意見書の書き方も教わりました。病院だけで患者さんを支えることは難しく、医療と介護の連携が不可欠であることを実感しました。医師としては、患者さんがどの時点で退院できるかを日々意識することの重要性を感じました。
医療資源が限られる地域で病院が果たす役割について深く学び、今後の医師人生にとって貴重な時間となりました。先生方やスタッフの皆様に大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。
また、地域の特性を感じる場面も多くありました。私が滞在した7月は北海道史上最大級の猛暑で、脱水症状の患者さんが多く見られました。暑くなることが珍しいため非冷房住宅が多く、また防寒対策で気密性が高く温室効果があるので室内が高温になりやすいといった特徴が影響していることを感じました。酪農や漁業の盛んな地域であり、夜間や早朝に仕事をしている方も多いため、患者さんごとの生活スタイルが大きく異なり、薬の服用タイミングなどへの配慮が必要であることも学びました。
学部教育で触れる機会の少ない漢方薬の使用機会も多く、知識を深めるきっかけとなりました。外来患者さんの中には、うつ症状を抱えている方もおり、そのような方には適切な専門職への紹介が重要であることも学びました。
外科では、整形外科の手術の介助や、縫合処置や胸腔穿刺など、多くの手技を体験させていただきました。小児科では、3歳児検診を経験させていただき、発達の遅れの有無や四肢・頭頸部・生殖器などの異常をくまなく確認することの重要性を学びました。
医師は主に救急医療で消防署の方々にもお世話になるため、別海消防署でも実習させて頂きました。外傷患者さんの現場搬送の流れや注意点のみならず、高所からのロープ降下訓練も体験させていただき貴重な機会となりました。
救急医療やベッドコントロールに関わる問題として、患者が入院する流れに関する入口問題と患者が退院する流れに関する出口問題がありますが、入口問題は大阪に比べて良好だと感じました。救急搬送が必要な症例で、都会では搬送先の決定に時間を要することが多いのに対し、別海町では搬送先が原則として別海病院に限られるため、選定の時点で時間を失うことは少ないそうです。別海病院でも処置が困難な症例や手術が必要な症例は釧路市の病院が転院を受け入れてくださることが多く、病院間の信頼関係も実感しました。出口問題については、高齢の方や医療依存度の高い患者さんが多く、在宅に戻る準備が難しかったり、介護施設の受け入れ先がなかったりして退院が長引くケースもあるものの、別海病院の近隣には特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどが整備されており、それらの利用を検討しつつ、看護師さんやソーシャルワーカーの方と連携して退院調整が行われていました。
また、退院後の生活に介護や支援が必要な患者さんも多く、介護保険を申請する際に必要な主治医意見書の書き方も教わりました。病院だけで患者さんを支えることは難しく、医療と介護の連携が不可欠であることを実感しました。医師としては、患者さんがどの時点で退院できるかを日々意識することの重要性を感じました。
医療資源が限られる地域で病院が果たす役割について深く学び、今後の医師人生にとって貴重な時間となりました。先生方やスタッフの皆様に大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。
このページに関するお問合せ先
町立別海病院 TEL:0153-75-2311 FAX:0153-75-2974