地域研修を終えて(令和7年4月)

 別海病院に来て最初に感じたのは、医師一人に対して患者の数が多いということです。外来患者数はもちろん、特に病棟患者の数がとても多く3人で対処しているとは考えられませんでした。時間が経つにつれ、その体制でうまくいっているのは医師の努力の他、看護師の方々の能力が高いからだと感じるようになりました。医師が少ない分、通常は医師が行う仕事でも途中までは看護師が行うことや、特定看護師が医師の仕事を肩代わりすることで医師の負担を減らしているのだなと感じました。病棟患者が何か症状を訴えたときも指示簿に書いてあることだけでなく、ある程度看護師の裁量で対応しており、医師と看護師の信頼関係ができているからできることだと改めて感じました。
 
 外来見学は普段の研修で経験がなく、特に糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病についてはあまり意識したことがありませんでした。現在よく行われている生活習慣病の治療薬の他に、昔から処方されている薬剤を学ぶことで生活習慣病の治療の歴史まで学べて面白かったです。また、生活習慣病というだけあって、薬剤だけでなく生活習慣を見直すことも重要な治療なのだということを再確認できました。
 エコー検査では、長い時間エコーを当てさせていただきとても勉強になりました。今まで救急外来などで私がエコーを当てるときは心臓、胆嚢、腎臓、膀胱くらいしか見ていませんでしたが、何度も練習するうちに肝臓、膵臓、前立腺などの他の臓器や血管なども少しずつ見えてきてそれぞれの臓器の位置関係や脈管走行をより理解することができ楽しかったです。大腸カメラをいくつか経験できていい練習になりました。
 発熱外来では普段あまり診ることがない風邪診療を経験できました。特に勉強になったのは普通の風邪と思っても風邪と決めつけず、様々な鑑別を意識する必要があることです。症状を詳しく聞く、聴診をしっかりする、扁桃の白苔付着やリンパ節腫脹を診察することにより、扁桃炎、肺炎、心筋炎、副鼻腔炎、中耳炎などの可能性を常に意識することが重要で、細菌感染を疑った場合には抗生剤の投与をすることも必要だと学びました。風邪に対する処方についても解熱・鎮痛薬、鎮咳薬、去痰薬くらいの選択肢しかありませんでしたが、うがい薬、点鼻薬など選択肢が増えてよかったです。
 病院外の研修でもたくさんの発見がありました。消防実習では、救急救命士ができる手技の範囲が限られており、同じ手技でも年齢や症状によってできないことが多々あるということがわかりました。そのことをしっかり理解して、救急救命士の方が働きやすい環境を病院でも作らなくてはいけないと思いました。また、西春別診療所や尾岱沼診療所ではより医師と患者の距離が近く、医師との会話が生活の一部になっている患者さんをみて、とてもいいなと感じました。
 1か月という短い間でしたが大変お世話になりました。ありがとうございました。