地域医療を終えて(令和6年9月)

 とても楽しみにしていた別海町での地域研修が、あっという間に終わってしまいました。
 私が研修している病院では、地域研修先を選ぶことができ、北は別海町、南は奄美大島と様々な地域で地域研修を行うことができます。
なかでも、私は、大阪ではまだ猛暑日が続く9月に、別海病院で研修することを選びました。
 9月の別海町は涼しく、とても過ごしやすくて、自然が美しく、ご飯もお酒も美味しく、夢のような1ヶ月を過ごすことができました。
 そして観光だけでなく、この1ヶ月で医師として成長することができました。
 まず、別海町という町は東京23区の2倍以上の広さにも関わらず、病院1つと2つの診療所しかありません。その限られた医療資源で医療従事者は様々な疾患に対応しています。そして、驚いたことは常勤の先生が3人しかおらず、内科、外科、小児科に1人ずつしかおりません。そして、先生方は当たり前のように、自分の専門ではない科の疾患に対しても治療を行っております。そのため、外科の先生が麻酔の導入も行い、手術と同時に麻酔管理を行います。このように医師不足の状況下であるために、看護師さんが患者のささいな変化、急変時に適切に対応できなければならず、医療時従事者全員のレベルの高さにも感銘を受けました。
 また、別海病院での当直業務も経験させていただきました。別海病院の夜間は、技師さんはオンコール体制となっており血液検査やCT、MRI、X線を実施するためには、毎回病院に呼ばなくてはなりません。私が普段研修している病院では夜間も技師さんが働いているため、すぐに検査をすることができたので、地域ならではの体制に驚きを覚えました。また、そのような体制だからこそ、本当に必要な検査を、問診、身体所見から考える力を身につけることができました。
 そして、別海病院では、医療従事者同士や患者さんとの距離がとても近く、医療者としての信頼関係の構築が大切だと感じました。初診から、その後のフォローアップまでを一貫して担当する機会があり、患者さんの生活背景や地域との関わりを理解することが、より適切な治療やケアにつながることを学びました。地域医療では、医師としての技術だけでなく、コミュニケーション能力や柔軟な対応力が求められることを痛感しました。
 別海病院での1ヶ月の研修は、地域医療の現場での課題や、その魅力を深く理解する機会となりました。地域医療では、技術的なスキルに加えて、患者さんとの信頼関係やチーム医療の力が何よりも大切であると学びました。今後の医師としてのキャリアにおいて、この経験を活かし、どのような環境においても患者さんに最適な医療を提供できるよう努めていきたいと思います。
 最後になりますが、西村院長、山田先生をはじめコメディカルの方々には大変お世話になりました。私は、今まで1ヶ月間も関西以外で過ごしたことはなかったので、私の人生においても、とても貴重な1ヶ月になりました。空気の綺麗さ、海鮮の美味しさ、人の優しさがとても大好きでした。別海町は私の第二の故郷と思っておりますので、精一杯努力して一人前の医師となり、また別海町の地域医療に貢献させていただきたいと思っております。