地域研修を終えて(令和5年5月)

 約3週間、大変お世話になりました。西村院長をはじめとする先生方、コメディカルの方々、病院職員の方々、保健センター・消防署の方々に心から感謝申し上げます。そして、別海町民の皆様のご協力のもとで、非常に貴重な経験をさせていただきました。
 北海道に生まれ、北海道で育ってきた身として、地域医療は身近なテーマでした。しかし、医学部を卒業するまでは漠然とした認識しか持っておらず、市立釧路総合病院での臨床研修を通じて、各地域の患者さんと関わっても地域医療への理解がなかなか深まらなかったことが現実でした。そのような状況の中で、町立別海病院での研修の機会をいただき、新しい発見に満ちた研修生活を送ることができました。特に地域医療における医師の役割や医療機関の連携、地域住民の生活に寄り添うことの重要性を身をもって感じることができました。
 医師の役割という点では、疾患の治療だけでなく、患者さんの生活や仕事に合わせた医療の提供や介護、終末期のケアなど、幅広い領域があり、地域医療ではそれぞれが重要であり、医師に求められることだと感じました。これらを実現するためには、患者さんの生活背景や家族に寄り添うと同時に、保険診療や介護保険などの法制度に関する知識も必要であり、公衆衛生に関わる医師の責任を感じました。また、西村院長の外来見学を通して、多くのcommon diseaseや慢性疾患について学ぶことができました。患者さんが多い中で問診や検査結果から生活習慣病などの疾患を見つけ出し、すぐに指導や治療に繋げていく西村先生の姿勢は非常に印象的でした。
 地域の医療機関の連携については、介護認定の主治医意見書を書かせていただいたことや、老人保健施設へのオンライン診療、介護認定審査会の見学、保健センターでの研修を通して、町民の方々の生活や健康のために多くの職員や行政サービスが関わっていることを実感しました。市立病院では、救急外来を受診した患者さんに対して、「症状が続けば日中に受診してください」といった言葉を使っていましたが、受診自体が距離や時間的に難しい方もいらっしゃること、また地域の病院に紹介した患者さんが元の生活に戻るもしくは施設で新しい生活を始めることは決して簡単なことではないことを痛感しました。その中で、医師にしかできないことが存在していることを再認識しました。
 そして、3週間の別海での生活を通じて、町民の皆様の暮らしを少しながらも経験することができました。週末に中標津や根室へ出かけたことをも通じて、豊かな自然や農産物、海産物の素晴らしさを実感しました。また、各市街地間の物理的な距離を感じることで、緊急疾患への対応や医療サービスの提供の難しさを実感しました。私の志望している放射線科においては、遠隔診療や遠隔治療の重要性をさらに感じ、積極的に関わりたいと考えています。しかし、まずは研修医として、主治医意見書の書き方や一般的な疾患への対応など、医師として求められることについて、今回の研修での経験と学びを忘れずに勉強を続けていくことを最優先にしたいと考えています。この研修を通じて、将来の方向性はまだ定まっていませんが、どのような形であれ、地域の方々の健康やより良い生活の実現の支えとなる医師になりたいという考えが強くなりました。
 改めて、皆様に心から感謝申し上げます。この貴重な経験を通じて多くのことを学び、成長することができました。ありがとうございました。
 今後も地域の方々の健康と幸せに貢献できる医師を目指して努力していきます。