地域研修を終えて(令和4年6月)

本院では市立ひらかた病院からの臨床研修医を受け入れております。
6月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 町立別海病院で2022年6月の1カ月間研修させていただきました。診療所や消防署、保健センターなど近隣の各施設などにも行かせていただきました。また、介護に関わる話もたくさん触れる機会があり、普段働いているときにはあまりかかわりのない老人保健施設、特別養護老人ホームなどの仕組みについても学ばせていただきました。
 普段働いている大阪の市立ひらかた病院とは、医師も患者さんも救急車も他にもいろいろなところが違って学ぶことの多い研修になったと感じています。大阪と違うと感じた点について述べさせていただきます。
 
 まず、医師は大阪では人数も多く、専門性もわかれていることが多いので、基本的に自分の専門外のことには深入りせずに専門の科に紹介してしまうことが多いです。しかし、別海病院では医師の数が少ないため、必然的に各医師が専門外のことであっても対応しなければいけないということになります。先生方は、内科であれば色々な内科のことに詳しく、どんな患者が来ても対応していましたし、外科の先生も麻酔も自分でかけられたり内視鏡もされたり(大阪では内科の先生がします)小児科の先生も感染対策の要となっていたりと、それぞれの先生が自分の領域外のことにも携わっておられて驚きました。
 患者さんに関しても、まず一次産業に関わる方が多いことが印象に残りました。「草」という言葉をよく耳にしたのですが、最初この草とは何なのかわかりませんでした。牧草のことだったようですが、1カ月のあいだに本当によくこの言葉を耳にしました。この農家の方が多いため、雨の日には患者さんが多くなっていました。雨の日は外出したくないため患者が減るというのが今までの常識だったためこれも驚きでした。また、一次産業従事者が多いためか足腰がしっかりしている人が多い印象も受けました。
 救急車との関係にも違いがありました。大阪では病院が患者を受け入れられなくても他の病院があるため、やむを得ず救急要請を断ることも多いですが、そのため救急隊も断られまいと都合の悪い情報を言わなかったりというかけひきが起こり得ます。しかし別海病院では要請を断るとかなり遠方の病院までいかなくてはならなくなり、そのため断るという選択肢がほぼなく、そのため救急隊とのかけひきなどが必要ないというのがよいところでした。
 
 ここまで色々と違う点を述べてきましたが、逆にひとりひとりの患者さんに対して、その人の社会的背景を考えながら医療を行うという姿勢は大阪でも北海道でも変わらないというのも感じました。
 このように、大阪と同じ点、違う点をたくさん確認できた1カ月間で、自分のこれからの医師としての人生の中でも大きな意味のある1カ月間であったと感じています。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。