地域研修を終えて(令和4年5月)

本院では市立釧路総合病院からの臨床研修医を受け入れております。
5月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 別海町立病院の先生方、医療スタッフや事務の皆さん、一か月間本当にお世話になりました。
 私が普段研修している市立釧路総合病院では地域医療研修先として、三つの病院から選ぶことができます。その中でも別海に行きたいと私が決めたのは、働き始めてすぐの、一年目の四月のことでした。別海での研修から帰ってきた先輩に、別海での夢のような話を聞いたからです。なんでも、別海にはかわいい乳牛がたくさんいて、アイスが食べ放題だとか、漁業も非常に盛んで、美味しいものがたくさん食べられるとか。それを聞いてから、私は絶対に別海で地域研修をするんだと心に決め、早々に希望を出し、無事に夢をかなえることができました。
 
 町立別海病院での研修では、朝の外科回診に始まり、内科での外来見学がメインとなります。一般内科の外来では、普段の外来では見られないような非常にcommonな症例を経験することができたり、総合病院を退院後にどのように地域でフォローされているのかといったことを学ぶことができました。また、分野によっては専門性の高い外来も行われており、先生方の志の高さを感じました。昼夜を問わず搬送される救急患者さんに対しては、専門性だけではなく、広く対応できる知識や技術の必要性も改めて感じました。さらに、普段転院搬送を受ける側の病院にいるため、転院を要請する側の事情や苦労を身を以て体感することができたのも非常に良い経験です。
 病院での勤務医通常研修以外では、町内にある2か所の診療所の見学や院内のリハビリテーション室の見学、消防署の見学もさせていただきました。北海道の特徴である、一つ一つの自治体の面積が大きいため、町に一つの病院では医療需要を満たせないという事情を肌で実感しました。これからも道内で医療に従事する上で大前提として常に心に留めておかねばならないことだと思います。消防署の見学では、酪農作業中の外傷の搬送に同行し、現場でできることがいかに限られているか、また、救急隊の方々がどれだけ苦労と努力をして迅速に、安全に病院まで搬送されているのかを知りました。その思いを繋ぐためにも、救急外来での対応にはより一層力が入ります。さらに、消防署では訓練や放水の体験もさせていただき、こちらは消防士さんへの転職も考えたくなるくらい楽しい時間でした。
 研修以外にも、プライベートではおいしいものをたくさん食べたり、馬に乗ったり、湿原にカヤックで漕ぎ出して山菜を採るなど、いい思い出もたくさん作ることができました。残念ながらホッカイシマエビの解禁には少し早かったですが、最初の別海に対するイメージ通りの、とても楽しく充実した時間でした。
 このような機会を与えてくださった別海町民の皆様に心から感謝いたします。これからも釧路で研修しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。