臨床研修を終えて(平成30年5月)

 本院では大阪医科大学附属病院からの臨床研修医を受け入れております。
 5月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。

地域医療研修を終えて

 私は岡山県の人口2~3万人程度の町の出身です。高校卒業後から関西で生活し始め、10年が経ちました。都会の人波と関西弁に揉まれ、自動車の排気ガスで薄く汚れた身と心が、別海の人々の温かい人柄ときれいな空気で洗い流された気分です。もう間もなく大阪に帰る日がやってきますが、10年前に岡山から大阪へ出発した時のような、一抹の不安を感じています。地方の出身であり、人口が少ない地域での医療の現状を見てみたいという思いから別海町での研修を希望させて頂きましたが、地元の医療にも目を向けるとてもいい機会になりました。
 
 酪農や漁業など患者の家業の事、病院までの移動手段や移動時間、家族構成など様々なことを踏まえて治療にあたっておられたことが印象的でした。別海病院の疾患の守備範囲は想像以上に広く、診療科が細分化された大学病院での研修では経験できない多くのことを学ぶことができました。また医療の現状や将来を考えているのが医療関係者だけではなく、同友会を通じて地域の他職種の人々と知恵を出し合い協力関係を作り上げておられることにも驚きました。

 私がこの一カ月で得た経験や感情はとてもかけがえのないものです。不安もありましたが、別海町で一カ月過ごすことができて本当に幸せでした。地域医療研修という枠を超えて、たくさんの自然と温かい人々に囲まれ、自分の人生そのものを改めて見渡すことができました。また、私が今後の医師生活の中で地域医療にどのように関り貢献していくか、新しい宿題を得た気分です。別海町で経験したことを今後の生活に活かしながら、良医になるべく頑張ります。一カ月間、本当にありがとうございました。