臨床研修を終えて(平成29年10月)

 本院では市立ひらかた病院からの臨床研修医を受け入れております。
 10月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。

地域医療研修を終えて

発表風景

伊丹空港を発ち4時間後には中標津空港に到着。同じ日本でこうも景色が変わると動揺します。なんてところにきたのだろう、と思いました。実習が始まると、まだ一つの病院しか知らない僕は、環境の違いに驚き、初体験の日々が続きました。
 
 オペ件数も多く、麻酔から外科・整形・血管外科など多岐に渡る手術症例に専門じゃないからと振らず積極的に取り組んでおられ、全例に清潔で入らせて頂き、大変良い経験になりました。また別海で診療所を除けば唯一の病院だけあって検診やワクチン接種、全てのプライマリ初診から専門予約診まで地域のほぼ全ての医療を担っている現状を体験することができました。患者さんは近くに開業医はありませんし、車やバスで何十分もかけて来られている姿も度々見かけました。そういった医療過疎の現状を受けて、医師や看護師、コメディカル、事務の方々が天候(これから冬を迎え)や独居、住所や職業(酪農や漁業とか)などを気にして社会的入院であったり、外来日や処方日数を増やしたりと様々な工夫をし、全人的医療をされていることに感銘を受けました。
 外来や搬送に関しては地域の特性をひしひしと感じました。別海町はすでに超超高齢社会に入っているので、とにかく90歳以上の受診や入院患者さんがたくさんいらっしゃり、家が遠いから夫婦揃ってや親子での受診、出生率が高いからか兄弟での受診が多い、などがありました。寒冷な地域からか僕が実習している期間だけでもSAH、脳出血、脳梗塞などの重篤な脳血管疾患がいくつも運ばれてきました。しかしヘリが飛ばなければ釧路まで1時間以上かけて搬送しなければならず、現実の厳しさを痛感しました。分娩は通常の誘発分娩を見ることができましたが、常勤で1名しかおらず、何かあった時のことを考えるととても怖いです。少ない人数で地域医療するにはやはり熟練の手腕がなければ務まらないのだと分かりました。
社会的に受診が困難な方には訪問診療を積極的に行い、実際に住宅に上がらせて頂くことで介護用ベッドがあり、バリアフリーが施されていてと、患者さんがどのような環境で暮らしているかを見ることもできました。なかなか普通に働いているだけでは自宅での患者さんの生活状況が分からないのでとても良い経験になりました。同じく救急隊のことも普段の1日を知らないので、訓練をし、出動に同乗してDrヘリを申請して見送りと大変有意義な1日となりました。
リハビリで患者さんと話し、保健所や診療所、講演会や懇親会では、地元の方々とたくさん話す機会があり、別海の土地柄や生活の知恵や知識など色んなことを教えて頂き、医療や福祉・生活に関して視野も広がり、とても充実した日々でした。
最初はなんてところだろうと思っていましたが、ご飯は美味しいし(食べるところは少ないけど)車があれば中標津も釧路もそう遠くなく、住めば都でした。別海で雪は見ることはなかったですが、初冬は肌で直に感じました。大阪で2月くらいの体感でしょうか、けれど0度も氷点下10度ももはや同じみたいです。家の中では冬でも半袖で過ごしているらしくまさにカルチャーショックでした。なので、本州から移住してきた方でも普通に生活していけます!僕も特に生活に困らず、休みの日には納沙布〜帯広、札幌、知床〜阿寒と道東をしっかり満喫することができ、本当に為になったし楽しかった1ヶ月でした!
無事に研修を終えることができ、別海病院の皆様と地域でお世話になった方々には本当に感謝しております。縁とはどこで繋がるか分かりません、この縁も将来いい形で残り、またご縁があればと思っております。その節はどうぞよろしくお願いいたします。お世話になり、ありがとうございました。