臨床研修を終えて(平成29年9月)

 本院では市立ひらかた病院からの臨床研修医を受け入れております。
 9月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。

地域医療研修を終えて 

発表風景

 1か月の間、町立別海で研修をさせていただき大変有意義な時間を過ごすことができました。別海町は、大阪で想像していたよりも敷地面積が広い町でした。その広い地域の診療所等医療機関と連携を取りながら、町民の皆さんの健康維持から急変時の対応までを行うのはとても大変です。この町立別海病院の担う役割は相当大きいものであるとこちらに来て実感しました。
 印象的だったのは患者さんの置かれている生活環境や社会的な背景など様々なことを医療者側が把握、理解していることでした。そのような信頼関係を構築されている上で患者さん本人や家族と何度も話し合いを重ね、治療方針を決めていくというのは今後の私も医師として患者さんと接するときに心がけなければならないことだと感じました。
 枚方で研修しているところは急性期病院であり、治療を終えても帰宅できない方に関しては慢性期病院へ転院という流れが普通です。そのため慢性期の患者さんを診ることがあまりありませんでした。別海病院はそのような振り分けをすることなく、幅広い医療を行っており、急性期から慢性期の様々な疾患の入院やその後の外来でのフォローまでを一貫して担われていました。患者さんからも、症状がある時も改善してからも同じ施設やいつものスタッフに診てもらえるということは安心感があるという声もお聞きしました。
 病院だけではなく、診療所や特別養護老人ホーム、保健所や消防署にもお世話になりました。こちらでは対応できない疾患だと判断された場合の患者さんの搬送にかかる時間や時にはヘリを用いたりする搬送方法も、枚方の医療現場とは大きく異なっていて勉強になりました。枚方にいたときには患者さんの自宅までついていく機会はなかったのですが、今回訪問診療にも同行させていただき、医師看護師やケアマネージャーの方など多くのスタッフに患者家族は支えられ地域の医療が成立していると学びました。高齢者が増加傾向にあるため今後、病院や診療所に行けないような医療難民は増えてくると考えられますし訪問診療や往診の需要について考えさせられました。
 この広い別海の町内唯一の医療機関で昼夜問わず患者さんを丁寧に診察し、緊急の処置が必要かどうか、搬送の必要な症例であるかどうかを判断しなければならないことは大変難しく、当直や緊急対応を見ていて緊張の毎日だと思いました。最近は地域医療を担う医師不足がニュースなどで言われていますが、実際に先生方やスタッフの医療スタッフの献身的な努力を目の当たりにして深く感銘を受けました。
今月はこの病院でしか経験できない多くのことを経験させていただきました。先生方はじめ町立別海病院でお世話になりましたすべての方々に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。