地域研修を終えて(令和7年11月)

 今回の北海道での地域医療研修は、私にとってとても印象深く、学びの多い4週間になりました。私は以前からへき地医療に興味があり、「地域の中で患者さんに寄り添える医師になりたい」と思って医師を志しました。大阪とは全く違う環境での研修は、新鮮さと驚きがあり、これまでの自分の視野を大きく広げてくれる貴重な時間でした。
 
 内科では、内視鏡、腹部エコー、心エコー、腰椎穿刺など、たくさんの手技を経験させていただきました。普段の研修ではなかなか機会のないものも多く、最初は緊張しながら取り組みましたが、丁寧に教えていただいたおかげで少しずつ慣れることができました。特にエコー検査では、プローブの当て方や画像の見方などを繰り返し学ぶことで、自分の中で手応えが感じられるようになりました。また、生活習慣指導外来を見学する中で、地域の方々の生活背景を意識しながら診療する大切さを改めて実感しました。患者さんの価値観や暮らしに合わせた指導は簡単ではありませんが、その一歩一歩が信頼関係につながっていくのだと強く感じました。
 さらに、院長先生が消化器・血液・膠原病の専門であることから、特異的な疾患を持つ患者さんの外来を見せていただけたこともとても勉強になりました。私は将来、血液内科を専攻する予定であり、院長先生がどのように病態を捉え、患者さんに説明し、治療方針を決めていくのかを間近で学べたことは、本当に貴重な経験でした。都市部とは違い、地域で血液疾患をフォローする難しさや工夫を知ることができた点も、大きな学びとなりました。
 外科では、外傷の縫合や手術助手など、実際の現場に深く関わらせていただきました。縫合はしばらく触れていなかったため最初はうまくいかず苦戦しましたが、山田先生が根気強く教えてくださり、少しずつ自信がついていきました。手術では肩の手術が中心で、ヘルニア手術にも入らせていただきました。カメラを持つ場面では、視野をうまく出すことの難しさを痛感しましたが、その分とても良い経験になったと思います。また、この地域には麻酔科医がいないため、導入・挿管・抜管を自分自身で行う機会もあり、普段の研修では得られない貴重な経験でした。先生方には終始優しく声をかけていただき、外科の楽しさを実感することができました。
 地域研修として、離れた診療所の見学や小児の定期健診に伺えたこともとても印象的でした。地域の中で「かかりつけ医」が果たす役割は本当に大きく、患者さんの生活に密着した医療が行われていることを肌で感じました。大学病院ではなかなか見られない診療の姿に触れ、地域医療の大切さを改めて実感するとともに、自分もこうした医療に関わりたいという気持ちが強まりました。
 今回の4週間は、技術面だけでなく、医師としての姿勢や患者さんとの向き合い方についても多くのことを学んだ時間でした。教えていただいた先生方、関わってくださったすべての方々に心から感謝しています。この経験をこれからの研修や将来の血液内科医としての歩みに必ず生かしていきたいと思います。4週間、本当にありがとうございました。