地域研修を終えて(令和7年5月)

  1か月と短い研修でしたが、スタッフの皆様に温かくお受け入れいただき、充実した実習生活を送ることができました。本当にありがとうございました。町立別海病院では市立釧路総合病院では経験できない経験を数多くさせていただきました。実習を通じて地域の基幹病院の重要性を痛感するとともに、外科医ではなく内科医という選択肢もありだなという気持ちを抱くにいたりました。
 
 まず外来を見学していて感じたのがカバーしなければならない領域が広いということです。専門的ながん治療を終えもう何もすることができない患者から、ただの風邪まで幅広い知識が必要であると感じました。前者については従来の治療内容を踏まえてどのような副作用が出る可能性があるかを知っておく必要があり、ジェネラルな知識のみならずスペシャルな知識も必要で、非常に大変でやりがいのある仕事だと感じました。後者に関しては単に発熱といってもいろんな可能性があり、時には癌などの重篤な疾患も潜んでいることがあり、一筋縄ではいかないと感じました。それに加えてアニサキスを食べてしまった人に対して胃カメラをしたり、貧血の人に対して大腸カメラをしたりなど、幅広い業務に対応できる能力が求められると感じました。
 また、救急対応の初動を任せていただいて、必要な検査のみを素早く行うということの大切さを学びました。脳梗塞の疑いがある場合に、病院でMRIを撮像していては治療のゴールデンタイムを過ぎてしまう可能性があるので、採血をし、CTで出血を否定した上ですぐ転院調整をしてドクターヘリを要請するべきというお話を聞いて、なるほどと納得しました。市立釧路総合病院では基本的には診療科が揃っており、転院搬送する機会があまりなかったためこのような考え方に気づくことができて本当に良かったです。診断が合っているか誤っているかよりも、いち早く治療ができる医療機関に患者を届けることが最優先なのだと学びました。
 また、入院患者を院長と一緒に回診させていただいて、社会的入院の必要性も強く感じました。地方には施設などが多くないため、家族が面倒を見るのが限界になっても施設になかなか入ることができないことが多く、高齢者を病院に入院させて施設が決まるまで一時的に預かる必要がある事例が結構あるということを学びました。市立釧路総合病院のような急性期病院ではそのような入院はあまり多くないため、地域の病院の一つの役割としてそのようなものがあることを知れて良かったです。
 また、基本的な手技を習熟することの必要性も痛感しました。エコーや胸腔穿刺、ルンバールなど、医者として最低限習得しておきたい手技は、どこのどんな規模の病院に行ってもやる機会が多いのだと痛感しました。今後市立釧路総合病院に戻って、そのような手技をしっかりと習得できるよう精進していきたいと思いました。
 その他、院長が地域で果たしている社会的役割なども教えていただいて、医師の仕事は診療だけではないことを学ぶことができました。改めまして、短い間でしたが、大変お世話になりました。またご縁がありましたらよろしくお願いいたします。