地域研修を終えて(令和4年4月)

 本院では市立釧路総合病院からの臨床研修医を受け入れております。 
 4月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 釧路から1時間半、車を降りるとそこには酪農の香りが漂っていました。
 人よりも牛が多く、牛乳はもちろんホタテなどの海鮮も美味しい…。札幌で生まれ育った私が持つ別海のイメージです。香川県に匹敵しようかという広さのこの町に、町立病院が1つ、東西の端に診療所が2つ。町立別海病院での地域研修が決まってから、どのような研修になるか心待ちにしていました。
 
 4週間を通じて、高齢者の地域医療の実際を見ることができました。病院のすぐ隣には特別養護老人ホームがあります。COVID-19の感染対策のため往診には行けませんでしたが、病院と協力体制にあり、そこからの入院やそこへ退院する患者さんも多くいます。医療・保健・福祉の連携について学ぶと同時に、無知の部分も多いことを痛感しました。地域の特性を知り、患者さんに合った医療サービスを提案するため、病院外へも視野を広げていかなければならないと思いました。
 日常業務では、西村院長をはじめ先生方の診療範囲の幅広さに驚きました。医師数が少なく限られた医療資源の中で、地域住民の健康問題と向き合い、専門外の疾患病態についてもできる限り町内で治療を完結しようとされる姿に感銘を受けました。そのためには、豊富な知識と高い技術を身に付け、常に最新の知見を得る必要があります。発熱外来やCOVID-19患者の入院対応では、ニルマトレルビル/リトナビル、ソトロビマブなどの投与を経験し、まさに最新情報に基づく医療でありました。
 私は小児科を志しており、4か月児健診、1歳6か月児健診に同行させていただいたことは貴重な経験となりました。健診で出会うお子さんのほとんどが町立別海病院小児科かかりつけで、小児科の横澤先生と顔見知りだったことが印象に残っています。小児科における地域医療を垣間見ることができた気がします。
 他にも、外科や整形外科の手術、リハビリテーション、西春別駅前診療所、尾岱沼診療所、消防署での研修など、たくさんの経験をさせていただきました。お世話になった全ての皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
 COVID-19が世界で初めて報告されてから2年半が経とうとしていますが、ここにきて別海町内の新規陽性者が過去最多を記録したというから驚きです。そのようなお忙しい時期にも関わらず、研修を受け入れご親切にご対応いただいたことに感謝の言葉しかありません。4週間大変お世話になりました。またいつか、皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。