地域研修を終えて(令和3年8月)

 本院では市立ひらかた病院からの臨床研修医を受け入れております。
 8月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 2021年8月の1ヶ月間を町立別海病院で地域医療研修をさせて頂きました。
 北海道はこれまで、夏に札幌や帯広に訪れていい思い出がたくさんあり、とても好きな場所だったのでこの研修がとても楽しみでした。まず大阪と比べて夏場は圧倒的に涼しくて、暑いのが苦手な僕にとっては楽園のような場所でした。食べ物も美味しく、空気も綺麗で夜には星もたくさん見えました。そしてなんと言っても別海町の人々は皆さんとても優しくて仕事中でも仕事外でも有意義な時間を過ごすことが出来ました。本当に1ヶ月間ありがとうございました。
 またこの1ヶ月の地域研修は市立ひらたか病院では到底経験することの出来ないことの連続でした。特に以下の2つの点でとても驚きました。

 まず1つ目は先生方の幅広い知識と技術についてです。別海町は15000人もの人々が暮らしているのに対して病院が町立別海病院と2つの診療所のみといった場所であり、別海病院では限られた科の先生方で様々な事に対応しなければいけません。そのため専門分野以外でも多くの疾患を診なければいけない状況がよくあります。これまでは専門外の疾患に対してはすぐに専門科にコンサルトすることが出来るというのが当たり前と感じていましたが、この1ヶ月で幅広い疾患に対応しなければいけない大変さを痛感することが出来ました。外科の先生方が自分達で麻酔管理を行ったり、整形外科の術後管理や外来フォローなども全てされていました。また時間外の救急外来は内科・外科問わず一人の先生が行われていました。消化器内科に進む僕はこれまで「内科になるから外科的な救急疾患は診れなくていいや」という気持ちが心のどこかにあったのですが、改めて内科・外科関わらず幅広い疾患に対応する能力の大切さを感じました。どんな疾患でも、もっと貪欲に学ぼうとする姿勢を持って残りの研修生活を過ごそうと思います。

 2つ目は慢性期医療についてです。市立ひらかた病院は主に急性期疾患に対してある程度の治療を終えると転院していくといった事が多いのですが、別海病院ではその先の慢性期医療や特別養護老人ホームなどについて深く知ることが出来ました。また別海町は高齢者の方が多く、80歳は当たり前で90歳や100歳の方もたくさんおられました。そのような環境で、例えば運動不足に対して大阪では「近くのスーパーまで歩いてくださいね」などの指導を行いますが、別海町では近くのスーパーといっても車で10分以上かかるような事が度々あり、指導として正しくない事があります。患者さんの生活背景や仕事などを考慮し、また患者さんやその家族がどこまでの治療を望まれるか等の事も含めながら適切な選択を行う事の大切さを改めて感じました。
 
 今回の研修では普段とは異なる経験をたくさんすることが出来て刺激的な1ヶ月になりました。ここで学んだ事を胸に刻み、今後の医師人生に役立てていこうと思います。本当に1ヶ月と短い期間でしたが改めてお世話になりました。また必ず別海町を始め道東に訪れようと思うのでその時はよろしくお願いします。ありがとうございました。