地域研修を終えて(令和3年6月)

 本院では市立ひらかた病院からの臨床研修医を受け入れております。
 6月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 2021年6月の1か月間、町立別海病院にて地域医療研修をさせていただきました。
6月の大阪はすでに30℃を超える暑さもあり、別海でも多少なりとも暖かいのでは、と思っていたのですが、来てみるとあまりの寒さに風邪をひいてしまいそうでした。しかし、空気は澄んでいて、のどかな景色にいつのまにか居心地のいい場所になっていたのは言うまでもありません。
 
 別海では、広大な土地にもかかわらず、総合病院が1つ、診療所が2つしかないという環境には驚きました。町を歩けば、様々な診療科がある枚方に比べると、人口に対する医師の少なさはあきらかです。そのため、医師が専門科に関わらず、様々な分野の知識や手技が必要となってきます。受診する患者さんの疾患は幅広く、別海の先生方一人一人の知識量は想像をこえるものでした。自分の知識量の少なさにも反省しつつ、しっかり勉強させていただきました。

 また、漁業・酪農などの家業についてや、移動手段・移動時間などの患者さんの背景を踏まえて診療されているのも印象的でした。狭い地域で知り合いも多く、患者さんの背景がわかりやすいのも枚方との違いのように感じます。そして、近年高齢社会といわれておりますが、特に90代の超高齢者の患者さんがかなり多い印象でした。治療だけではなく、保健・福祉サービスなども重要になってきます。ひらかた病院では急性期であるため、そういったことを詳しく学ぶ機会は少なかったので勉強になりました。

 特別養護老人ホームが別海病院に隣接しており、慢性期の患者が多くおられます。もともと週1回院長自ら訪問し、全員を診察しておられるとお聞きしましたが、コロナ下で見に行くことができず、残念でした。しかし、そういった環境はとても素晴らしいなと思いました。何か異変があればすぐ対応できるような環境であり、地域ならではの工夫だと思います。

 最後に、医療従事者ひとりひとりの幅広い知識、対応力が非常に高いなと感じ、それこそが地域の医療を支えているのだなと研修を終えてわかりました。ここでしか経験できないことを多く学ぶことができました。先生方はじめ、町立別海病院でお世話になりました関係者の皆様、本当にありがとうございました。