地域研修を終えて(令和元年12月)

 本院では大阪医科大学附属病院からの臨床研修医を受け入れております。
 12月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 はじめに町立別海病院には一か月間の地域研修の機会を設けていただき大変感謝しております。
 私は同じく医師である父の姿をみて、医師を目指しました。そんな父の行っている医療は地方都市からやや離れた田舎のかかりつけ医であり、研修医として(医師として)働く以前、思い返せば医学部に入学した当初より地域医療というものに自ずと興味をもっていました。
 そのような私にとって今回の別海町病院での研修は願ってもないもので、遠く離れた地という環境に対する不安と地域研修に対する期待を胸にやってきました。
 まず、12月の北海道は最高気温が氷点下という大阪とは比べものにならない、いわば外国のような気候の中での研修となりました。また、周囲の施設(コンビニ・スーパー・食事処をはじめとした)が大阪と比べるとかなり少なくさらには16時頃には日が沈み辺りは真っ暗、人気も少なく研修はいささか心配を伴ったスタートとなりました。しかし、そのような心配も束の間で医局の先生方だけではなく院内全ての職員の方々がすれ違うたびに笑顔で挨拶してくださり、体調を気遣ってくださるお言葉をかけていただき早々からアットホームな雰囲気で研修をスタートすることが出来ました。どこの国にいっても挨拶は大事ですね!(前述の通り北海道は異国にきた気分なもので)

 本題の実習で感じたことは、別海町病院の先生方はオールラウンダーということです。内科の先生方は自身の専門分野である消化器だけではなく一般的な疾患はもちろん、血液や膠原病領域といった専門的な疾患まで幅広く診療範囲をとっていますし、外科の先生方は膵頭十二指腸切除術といった難しい手術から術中の麻酔まで行っており、大学病院や都会の市中病院では類をみない守備範囲の広さと器用さで日々の診療をまわしておられました。また、“病気”だけをみるのではなくしっかり患者様の背景を踏まえて医療をされているなというのを傍につかせていただいて実感しました。町内約15000人という人口に対して、診療所は2つ、そして病院というのはここ別海町病院だけであり医師の少ない地域での医療の真髄を経験しました。現在の日本は高齢化社会に伴う医療問題・医師の偏在(都会と田舎での医療格差)が問題視されています。大阪では気づきませんでしたが初めて身をもってそのような問題を経験することになりました。

 病院のスタッフ全員で町民の皆様のニーズに応えるべく医療を提供されている。そんな別海町病院での研修は大変実りのあるものとなりました。この1か月の経験は自身の人生で忘れることはないでしょうし、糧にしてこれからの医者人生を進んでいこうと思います。
 最後に重ねて御礼申し上げます。今後の皆様のご多幸とご健勝を祈っております。