臨床研修を終えて(平成30年11月)

 本院では大阪医科大学附属病院からの臨床研修医を受け入れております。
 11月に研修にいらっしゃった研修医からのレポートをご紹介します。
 11月の1か月間、町立別海病院で地域医療研修をさせて頂きました。
大阪医科大学は地域医療実習としては地元高槻市の開業医・奄美大島・高知県など様々な地域が選択肢としてあります。
 別海病院を選択したのは、大阪で生まれて育ち圏外に出たことがなく、一度遠方の地域に出てみたいと思っていたのと、おそらくこの先足を踏み入れることのなさそうな北海道道東の地に行ってみたいという安易な理由からでした。
 町立別海病院は広大な町の唯一の総合病院という、地元大阪では信じられないような広範囲を担っています。
一番実感したことはやはり医師不足の現状でありました。細分化して科それぞれを担当するのは当然不可能であり、総合的に患者を診なければいけない状況にあります。
 内科病棟では呼吸器内科・消化器内科・膠原病科・血液内科・感染症科など内科全般の疾患について担当させて頂きました。もちろん内科病棟は1つしかありません。私にとっては約1年半の臨床研修の総復習といった経験ができましたが、普段常勤医の先生方にとっては広範囲の知識が求められ、都会の医療機関とは全く異なった雰囲気でありました。
 また特別養護老人ホームが別海病院に隣接しており、急性期を超えた慢性期の患者が多くおられます。週1回院長自ら訪問し、全員を診察しておられる状況は医療関係者にとっても患者にとっても良い環境であると思います。発熱しているなどなにか異変があればその回診時に報告頂き、隣接している病院で検査できますし、急性期の治療が必要だと判断すればすぐに隣接している病院へ入院することができます。
 毎日の病棟回診は医師-看護師-薬剤師が同時に行います。患者の前で情報の共有ができ、医師の考え方もその場で述べます。医療関係者が同じベクトルに向かって医療を施行できるこのシステムは私の病院にはありませんが素晴らしいと思います。医療ミスも減ると思いますし、一致団結しているような一体感を実感しました。
 私の研修させて頂いた11月は氷点下10度にもなるときがあり、道路も凍っているような状況でありましたが、いろいろと観光に行くこともでき、また海鮮や肉など自然豊かなその土地でとれたものをそのまま頂くことができたのも最高でした。
 
 以上のように都会と地域の医療の違いを実感することができ、本当に濃厚な1か月間を経験することができました。
 
 最後にはなりましたが、他病院の私をこんなに暖かく迎えて頂き、感謝を言い尽くせません。院長をはじめ、諸先生方、看護師・薬剤師・事務職・別海病院関係者の皆様、別海町の町民の皆様、本当に1ヶ月ありがとうございました。