北海道町村議会議長会議員研修会兼3常任委員会合同アカデミー

視察概要

  • 目的
    議会の活性化と議会議員の資質向上、町民ニーズに対応した地域社会の形成と自治体のあり方等について、理解をより深めることに資するため。
  • 派遣場所
    美瑛町、札幌市
  • 期間
    令和元年6月24日(月曜日)から6月26日(水曜日)までの3日間
  • 派遣議員
    西原浩議員ほか15名
  • 本研修及び視察について
    北海道町村議会議長会が主催する道内の町村議会議員を対象とする研修会の参加に併せて、総務文教常任委員会、福祉医療常任委員会、産業建設常任委員会の3常任委員会が合同で視察研修を行うものです。

視察結果

外山浩司議員が提出したレポートによって、以下のとおり視察結果の報告とします。

6月24日 美瑛町行政視察

美瑛料理塾による地域活性化施策について

廃校を利用した食の複合施設は、「北瑛小麦の丘」の敷地内にあります。旧北瑛小学校の敷地にレストランとパン工房、宿泊施設が併設されていて、レストランの実習、パンの調理などを住み込みで学ぶ「美瑛料理塾」としても利用されています。
タンパク質含有量の多い「ゆめちから」が空知地方で収穫されるようになり、小麦を活かした町おこしに町や農協が焦点を当て関係者に働きかけた結果、国費を活用して廃校利用を行いました。
この廃校の活用について美瑛町から相談を受けた、フランス料理などに知見が豊富であり、料理雑誌の編集長をされていた斉藤壽氏が、レストランを開きながら料理人養成機関の「美瑛料理塾」を主宰しています。
レストランは、地元・美瑛で採れた新鮮な野菜と北海道の旬の味覚を活かしたフランス料理の提供が特徴。また、地元の森林組合から安定供給される薪を燃料として、石釜により焼き上げられたおいしいパンも特徴。
佐藤晴観美瑛町議会議長からの歓迎のあいさつの後、美瑛町役場農林課の安藤係長から概要説明をいただき、料理塾主宰の斉藤氏から校舎活用に至る経過、事業展開について説明を受け、活発な質疑が行われました。
学校のグラウンドであった場所には、小麦が栽培されており、収穫し、活用されています。
栽培環境を整えるため、時間をかけて畑の整備と管理に取り組んできたそうです。

新たな道の駅の開設ほか観光政策について

廃校利用による活性化の研修に続いて、同じく美瑛町において町内に2つ目の道の駅を展開した経過等について学びました。

別海町では、商工会が中心市街地の物産拠点の構想をもっており、この構想に関して、昨年2名の議員が一般質問を行い、本年1月には産業建設常任委員会が商工会総務委員会と意見交換会を行いました。

これらの経過から道の駅の視察を研修テーマとしました。
美瑛町の2つの道の駅の概要は、次のとおりです。
  1. 道の駅びえい「丘のくら」
    大正初期に建設された美瑛軟石づくりの石倉庫を改装したもので、美瑛産カラマツを使用した建物。美瑛産にこだわったソフトクリームやコロッケなどの軽食、農産加工品や町内にアトリエを持つ人の作品が販売されていました。併設する宿泊施設「ラブニール」と並びに美瑛駅周辺の集客拠点となっています。
  2. 道の駅びえい「白金ビルケ」
    旧「白金ビルケの森インフォメーションセンター」が、道の駅びえい「白金ビルケ」としてリニューアルオープン。
    白金エリアを初めとした美瑛町全体の情報発信を行うほか、周辺でのアウトドア体験者向けのシャワールームの設置、アウトドアブランドの販売、美瑛町の食材をふんだんに使用したハンバーガーショップなど、美瑛町をより楽しめる施設になっており、民間の力を活用しています。
道の駅びえい「白金ビルケ」のテナントを紹介します。
  • レストラン 「BETWEEN THE BREAD」
    ハンバーガーショップで、水も空気も綺麗な美瑛町で採れた食材をふんだんに使用し、出来たてのハンバーガーをテイクアウト型式でご提供いしています。
  • アウトドアショップ 「THE NORTH FACE 」
    自然に囲まれた美瑛町のフィールドショップとして、高品質、高機能なウェアやグッズを中心に取り揃え、四季折々のアウトドアスタイル・スポーツのお店。

 道の駅びえい「白金ビルケ」については、リニューアル直後は集客が乏しかったため、道の駅にすることに行政が取り組み、その結果、飛躍的に入込客が増加しました。入込客数の経年変化についても担当課長から説明を受け、別海町における調査活動の参考となりました。

6月25日 北海道観光振興機構様による研修

2日目は、午前中、公益社団法人北海道観光振興機構様に研修をお願いし、北海道観光の現状と見通し、別海町観光の評価と課題について講話をいただき、意見交換会を行いました。黒田専務理事ほか5名の幹部職員の方にご出席賜りました。
冒頭で同機構の概要について説明がありました。
北海道の観光のあるべき姿に向かって、観光分野にとらわれず、一次産業との連携やスポーツや文化を含めた広い意味での連携を図り、北海道の活性化に寄与してく団体。道民と一体となり、観光を北海道のリーディング産業に導き、観光で地域を活性化することを基本理念にしています。
北海道庁、JTB、JR北海道、航空キャリア、サッポロビール社などいろいろな組織から職員が派遣され運営されており、町村からの出向も積極的に受け入れる考えとのことです。
政策立案が北海道庁、事業のハンドリングが北海道観光振興機構という関係性であり、道内観光のけん引組織であります。

研修で学んだ北海道観光のキーワードとしては、
食と観光・・・観光客は、地元の美味しい食材を食べたい。
1次産業を主役に・・・観光の力を1次産業発展のために。
経済効果・・・地域でいくら消費したか。地元の物をどう食べてもらうか。
データー活用・・・どこの県や国の人が来ているか。観光の目的、個人旅行かグループか、滞在時間、移動手段など。
外国人の受け入れ・・・体験観光、食観光。宿泊場所と価格。

豊富な資料とともに多くの知見に触れる機会となりました。意見交換会においても議員各位から積極的な質疑がなされ、有意義な研修となりました。

6月25日 北海道町村議会議長会主催「議員研修会」

北海道観光振興機構様による研修の後は、場所を移動し、北海道町村議会議長会主催による「北海道町村議会議員研修会」に参加しました。

次のとおり、政治評論家の有馬晴海氏と中央大学名誉教授の佐々木信夫氏による講演を拝聴しました。概要は、次のとおりです。
 「どうなる?今後の政治」
政治評論家 有馬晴海 氏

人口減が続き、外国人労働者に頼る傾向の日本社会。今後はAI(人口知能)が農作業や医療機関などで活用されていく。また、キャッシュレスの機能が世界で広まる中で、日本は整備が不十分で外国人観光客などから改善が求められている。今後は、神社でもQRコードが利用され、お賽銭が振り込まれる時代に変わってくる。
「地方は変われるか~議会はどう変われるか、自治体をどう変えるか~」
中央大学名教授 佐々木信夫 氏

2050年には、人口が約9,500万人になり、高齢化率が約40パーセントになる予想である。このため、地域のサービスが崩壊的になり、住民の生活が変化せざるをえない状況になる。
議会は、報告会などをやるだけでは不十分である。通年議会制を取り入れたり、新しいコミュニケーションの手段を取り入れたりして住民とのやり取り(ツーウェイ)が大切になってくる。知恵を出し合い議会を運営することが大切である。

視察成果

今後、各常任委員会などの活動に視察及び研修の成果を反映させるため、議員間の協議を行う予定です。
視察の成果については、今後、改めて報告します。